精神病院「情報開示に消極的」な姿勢への大疑問

公的にも自主的にも隠し、患者には評価できない

各地で市民団体が地道に作り続けてきた精神科病院事情を伝える冊子
精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。人口当たりで見ても世界でダントツに多いことを背景として、現場では長期入院や身体拘束など人権上の問題が山積している。日本の精神医療の抱える現実をレポートする連載の第8回。

情報公開に積極的な精神科病院は少数派

東京・東村山市にある「多摩あおば病院」は、206床の入院病床を持つ精神科病院だ。東村山市とその周辺地域を中心に、他県からも多くの患者が訪れる、地域精神医療の拠点である。

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診療内容は幅広く、統合失調症や発達障害、気分障害のほか認知症、アルコールや薬物依存症プログラム、児童思春期の問題にも対応している。患者は10代から90代まで、疾患にかかわらず精神科の治療を必要とする人たちだ。

同院では、病院ホームページに「患者統計」として、治療を行った患者に関する統計データを公開している(https://sinsinkai.com/about/statistics/)。主な項目は以下の通りだ。

・年間入退院数
・平均在院日数
・病院の回転率
・1年後残存率
・入院患者の退院先
・外来数
・デイケア数

副院長の中島直(なおし)医師は、「情報公開は当然のこと」と語る。しかし、実際に自ら、こうした統計データを公開している病院は少数派だ。

東京都内の私立の精神科病院団体である「東京精神科病院協会」に所属する63病院のホームページを調べたところ、スタッフ数の内訳や患者の治療状況がわかるデータを公開していたのはわずか6病院のみだった。多摩あおば病院のような詳細なデータに至っては、開示している病院はほぼ皆無だ。

本連載『精神医療を問う』でも報じてきたように、精神科病院は「精神保健福祉法」に基づき、患者が拒否しても医師の診断と家族の同意で強制的に入院させる権限や、病棟の入り口が常時施錠される閉鎖病棟を持つ。

入院患者には「携帯電話を持ち込めない」「面会を制限する」「外部とのやりとりは手紙だけ」などのルールが主治医の判断で課されることもあり、患者が病院内から情報を発信することも極めて難しい。そうした状況下で、根拠なく長期入院を強いられているケースや、看護師など病院スタッフによる虐待で患者が亡くなる事件が相次いできた。

そのため精神科病院には、通常の病院よりも自主的かつ積極的な情報開示が求められるはずだが、冒頭で見たとおり、その姿勢には乏しいのが現実だ。大多数の精神科病院の内情は、今もブラックボックス状態にある。

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