勢いに乗る婚活サイト、“すれ違う”結婚相談所--婚活ブームを享受しているのは誰か

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 今後は結婚披露宴などのブライダルサービスにも進出し、イオングループのシナジーを生かして出産・育児、金融・住宅などのライフサポートへ事業領域を広げていく意向だ。その基盤固めとして、ツヴァイで結婚したOB・OGの「エバーグリーンサークル」にも力を入れていく。

婚活業界における新旧勢力のせめぎ合いを、顧客の側はどう見ているか。『崖っぷち高齢独身者』(光文社新書)などの著作がある樋口康彦富山国際大学専任講師は、5000人超の女性と婚活で接してきた。複数の結婚相談所やネット婚活サイトに登録し、お見合いパーティにも多く参加、総額800万円を婚活につぎ込んできた、最上級の得意客だ。

その樋口氏は「ネットのほうが将来性がある」と見る。エキサイト恋愛結婚など「アプローチする人数に制限がなくて使い勝手がいい」(同氏)。ただ、登録者が都市部に多いので、「地方在住者同士だとすぐに出会い尽くしてしまう」とも。一方、結婚相談所に対しては、「振る舞いに問題のある会員にはきちんと指摘すべきではないか」と、“品質管理”に関する盲点を指摘する。

気軽さや費用の安さ、インターネット世代の台頭で、“ネットに押されるリアル”の構図は明らかだ。だが、その勢いに社会的認知と信頼感が追いついていないのが実情だ。

オーネットなどが立ち上げる「結婚相手紹介サービス協会」では、企業に利用者の独身証明書の提出を義務づけるが、あるネット大手は「独身証明書について社内で検討したこともあったが、会員からは不要との声が多かった」といい、現在も加盟の意向はない。

別の業界団体「日本ライフデザインカウンセラー協会」は「婚活サイトとはサービスの構造が違うので取り扱いできない」とする。猛スピードで進む非婚高齢化社会。婚活サービス業界が名実共に頼れるお助け役となる日は来るだろうか。
(フリーライター:小林拓矢 =週刊東洋経済2010年3月27日号)

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