実例で学ぶ「売り上げを伸ばす」デザインの凄技 センスだけに頼らない「書体」と「色彩」の使い方

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「色彩」をマネジメントして、より多くを売り上げたい場合には、次のような3つの方法があります。

  • ①ブランドカラーを定義する

「創業の物語」や企業の哲学はもちろん、「ただなんとなく使っていた色」であったとしても、それらをブランドカラーであると定義し、固有名詞とする手法です。なぜ、その色なのかは必ず掘り下げてネーミングします。例えば、鹿島アントラーズの「アントラーズレッド」。地域共創スポーツにおける国内でも有数のファンマーケティングの成功事例です。ホームでの試合ではもちろん、アウェイ戦においても「アントラーズレッド」を身につけたファンで埋め尽くされます。

  • ②相手あるいは競合の色を意識してその補色を使う

トップブランドのコカ・コーラのブランドカラーは赤ですが、ペプシコーラもスタート当時は赤をブランドカラーにし、力をつけたところで青に大きく変換してキャンペーンを行い成功しました。SNSや広告キャンペーン、短期間に、あるいは一斉に露出するものに効果的です。

ペプシのブランドカラーは3色で構成(画像:筆者提供)
  • ③自社内で、カラーパレットを制定し、商品やサービスも拡張する

Google社では、新サービスの立ち上げや、サービスリニューアルの際には、ロゴカラーを基準にしたカラーパレットを基準にし、単色あるいは組み合わせて新しいサービスやデザインに活用しています。

グーグルのブランドカラーは4色で構成(画像:筆者提供)

「イメージ」や「センス」だけで決めない

配色というと、「イメージ」や「センス」で決めてしまう方が意外に多くいるということを、カラーのセミナーの講師などをすると痛感します。

「イメージ」や「センス」で選んで、しっくりくることはもちろん良いのですが、戦略的な展開や継続的な使用ができたほうがマーケティング的には有利です。

『これならわかる! 人を動かすデザイン22の法則』(KADOKAWA)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そのためには、

  • ①「色を選ぶ意味」と「なぜそれを選んだか」をもう少し大切に考える(市場調査や競合調査を含む)
  • ②信念の色(ブランドカラー、キーカラー、軸になる色、始まりの色など)をストーリーや哲学を大切にしながら選ぶ
  • ③機能的に必要な色(キーカラーを映えさせる色、サブカラーなど)を選ぶ
  •  

 というプロセスを踏むと、デザインの戦略としても、持続継続可能なツールとしても、ふさわしい結果が出やすくなります。

世界が大きく動き、価値観が変わりつつある今、長い説明や読み切れない資料ではなく、人の潜在意識に一瞬で働きかけるデザインの力はますます重要になります。書体と色彩のバリエーションを知り、それぞれどのようなイメージを与えるかを知っていれば、ビジネスのプラスになることは明らかなのです。

ウジ トモコ 戦略デザインコンサルタント、アートディレクター

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Tomoko Uji

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、広告代理店および制作会社にて三菱電機、日清食品、服部セイコーなど大手企業のクリエイティブを担当。1994年ウジパブリシティー設立。デザインを経営戦略としてとらえ、採用、販促、ブランディングなどで飛躍的な効果を上げる「視覚マーケティング」の提唱者でもある。ノンデザイナー向けデザインセミナーも多数開催。「かごしまデザインアワード」審査員。「やまぐちハイスクールブランドプロジェクト」チーフディレクター。現在、島おこし(地方創生)プロジェクト参画を機に、壱岐島と東京の二拠点で活躍。著書に『デザイン力の基本』(日本実業出版社)など多数。

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