【産業天気図・銀行業】資金需要鈍く利ザヤも薄い、当面「雨」が続く


 大手行では、システム統合をすべて完了した三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>の経費率が改善している。今頃統合効果が出るというのは、大手行ならではの時間の遅さだが、収益にはプラスになる。ただ、度重なる巨額増資で配当負担が増える。収益力のなお一層の引き上げが課題だ。三井住友フィナンシャルグループ<8316>も規制対応の増資を完了したが、収益力の向上が課題で、アジアでのM&Aなど次の一手が注目される。みずほフィナンシャルグループ<8411>は資本面で弱く、国際的な資本規制強化に対応するための資本政策が打ち出せるか、引き続き要注目。利益水準が低く、配当負担が高いため、単なる巨額増資は難しく、資産圧縮、経費圧縮・収益力アップのための抜本策などが出たうえでの併せ技でなければならないだろう。

新生銀行<8303>とあおぞら銀行<8304>は、ビジネスモデルについての考え方が合わず、システム統合など重要なことが何一つ決まらなかった。さらに金融庁検査を通じて、新生銀行が不良債権に対する引き当てを求められたとみられ、今期は赤字になる公算が大。そこで、あおぞら銀行側は1対1という当初合意した統合比率の変更を求めている。そのため、交渉は暗礁に乗り上げ、破談となる可能性が高い。ただ、合併合意を破棄して、今後どのようにしていくのか、新たな戦略を示さないと、公的資金返済の筋道が見えない。それを示せない段階での合意破棄は金融庁が許さないというのが現段階だ。4月には動きがありそうだ。

大型M&Aの破談話が続くなかで中央三井トラスト・ホールディングス<8309>と住友信託銀行<8403>の統合へ向けた詰めは粛々と進められている。中央三井トラスト・ホールディングスの田辺和夫社長は兼務していた傘下の中央三井信託銀行の社長を奥野順新社長に2月バトンタッチ、合併作業に専念する体制となった。
(大崎 明子)

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