iDeCoを放置する人が知らない「手数料」の恐怖 転職などで企業型から移管するときは要注意

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陽子さんに限らず、転職を機に企業型からiDeCoに資産を移換したものの、放置している人は珍しくありません。転職したばかりで仕事に慣れないうえ、iDeCoをどう扱えばよいのかわからないのです。定期的に取引状況のお知らせが届くので口座の存在自体は知っています。そんなふうに放置している人は、こう口をそろえます。

「年々、資産が減っているように感じます」

取引状況のお知らせには資産額や運用状況等の記載があり、陽子さんの評価損益を見てみると「マイナス5万円」になっています。確かに資産額が減っていました。「減っているように感じます」というのは正しく、放置し続けると、さらに損失は大きくなりそうです。

気にしていなかった「さほど大きくない月額費用」

陽子さんのようにiDeCoを放置し、その資産が減っているケースでは、その原因はほぼ手数料です。企業型確定拠出年金を導入している会社を退職する際、確定拠出年金をiDeCoに移換しなければいけないことを説明されます。そしてその移換先として企業型と同じ運営管理機関の個人型口座を紹介されます。

紹介された運営管理機関以外にも選択肢があり、運営管理機関によって取扱商品や手数料が違うことを知っていれば、紹介先の運営管理機関に移換するかどうか、いったん考えるでしょう。しかし、違いがあることを知らなければ、会社から紹介された方法で手続きをしてしまうでしょう。

陽子さんも運営管理機関が複数あることを知らなかったため、会社からいわれたとおり資産を移換しました。そして、移換する際、運用指図者となったのです。iDeCoをするには手数料がかかりますが、運用指図者であったとしても手数料は発生します。

手数料の額は運営管理機関によって異なりますが、陽子さんの場合は月約400円でした。大きな金額ではありませんから、それほど気にならないかもしれません。しかし、資産を食いつぶしている原因は、まさにこの月400円の手数料なのです。

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