コロナ禍でも黒字確保「コメダ珈琲」のすごみ 赤字転落のスタバになかった「3つの強さ」
スターバックスの場合、全店の9割超が直営店でFC店の数は限られる。ドトールの直営店比率は2割弱だが、ドトール・日レスホールディングス全体で見ると「洋麺屋 五右衛門」が全店直営であるなど、直営とFCの比率は半々だ。タリーズもおよそ半々とみられる。それに対しコメダの直営店を40店程度しかなく、全体の95%以上の店舗をFC店が占める。
直営店は家賃や人件費などの固定費を本社が抱えるが、FC店はフランチャイジーが負担するため本社の固定費は軽くなる。ただしFCビジネスにはリスクが伴う。なり手募集のノウハウや負担に加え、全店でサービス品質を統一させるための従業員教育は直営店より難しい。それでもコロナ禍で売り上げが急減する状況下、FC店が多いほうが浅い傷で済む結果となった。
コメダのフランチャイジーには、地盤の名古屋を中心に個人事業主が多い。店舗ごとに顔なじみの常連客が多くついていることや、自らの生活がかかった商売をしていることもあってテイクアウトやデリバリーなど必死の策を行った店舗が多かった。短縮営業を強いられた4月でさえも、前年比53%の既存店売上高を確保するという底力を見せた。
9月、10月は既存店プラスをたたき出す
2つ目は、コメダの出店戦略だ。スタバは駅に近い一等立地への出店や、郊外でも幹線道路沿いの好立地への出店が多い。ドトールやタリーズも都心のオフィス街へ出店する比率が高い。それに対し、コメダは幹線道路から1本入った生活道路沿いをメインに店を構える。都心部でもコメダは駅から少し離れた場所の2階以上に店を出すことが多い。
こうした二等、三等の立地は家賃が抑えられるため、FCオーナーにとって事業を継続しやすい。コロナ禍では人々がオフィスに出勤する回数を減らしたため、オフィス街の店舗を訪れる頻度も減ってしまった。生活する地域に近い店舗のほうが、比較的ダメージが少なくすんだ。
3つ目は、店舗設計の違いである。スタバなどは多くの顧客が座れるように、面積あたりの席数を多く用意している。ところがコロナ禍では隣の客とソーシャルディスタンスを取るために、稼働する席数を間引きすることを迫られた。人出がある程度回復しても、間引きの影響で席が空いていない状況を見て、入店を諦める顧客もいて機会損失が発生した。
これに対し、コメダのコンセプトは「家の外にあるリビングルーム」(コメダホールディングスの臼井興胤社長)。客席はソファで、間隔も広く取っていた。そもそも感染対策で改めて距離を取る必要がなかった。
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