小池栄子が「40歳にして人気女優になれた」理由 2022年の大河では「北条政子」役に大抜擢

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著書では、2007年当時、キャリア転換を考えていたことを告白しています。自分が一番やりたいこととして舞台をやっていこうと選択したと。そして、その宣言どおり、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんや本谷有希子さんといった劇作家の舞台に出演。

ケラリーノさんと組んだ『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇』は映画にもなり、こういった演劇活動が彼女のキャリアを高め、新たな仕事につながっていきました。

三谷幸喜さんの舞台『子供の事情』に出た後には、映画『記憶にございません!』にも参加し、首相の秘書官をコミカルに好演。三谷さんに絶賛され、2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)ではみごと、主人公の姉・北条政子役にキャスティングされました。

役者としての才、起業家としての資質

また、見落としがちなポイントですが、小池さんの成功の要因には、いわゆる愛人役、男性と不倫するような役をほとんど演じてこなかったこともあるのではないかと思います。

グラビア出身で水着の印象も強くセクシャルな魅力のある小池さんに、そういった役のオファーが来なかったとは思えないのですが、著書でも「女を武器にするのは嫌だ」と明言している彼女だからこそ、そういった役を意識的に避けてきたのではないかと推察します。『接吻』『美食探偵 明智五郎』のように犯罪者の役を演じることはあっても、他の女性を不幸に陥れる役は演じない。その結果、ステレオタイプなイメージがつかず、同性からの好感度も高くなったのではないでしょうか。

結局のところ、小池さんの強さはその抜群のバランス感覚にあるようです。それは天性のものでもあるでしょうし、祖父の代から事業をやっていたという家庭環境から来ているのかもしれません。そして、20代のうちに芸能界の育ての親の手を離れ、大手芸能事務所のような営業力を持たない個人事務所でキャリアを築いてきたという経験も大きいでしょう。

役者としての才能とセルフプロデュース力を兼ね備えた彼女は、起業家の資質も持ち、アラフォー女性の成功例としても輝いています。

小田 慶子 ライター

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けいこ おだ / Keiko Oda

テレビ誌編集者を経てフリーライターとなる。日本のドラマ、映画に精通しており、雑誌やWebなどで幅広く活躍中。

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