名大と岐阜大で進む「農学部統合」構想の波紋 広大な土地のある岐阜にキャンパス集約も

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今回も「現場や地域の意見を聞かず、名称や場所をバーターで取引するような発想でいいのか」「他学部や連携する大学との関係も考えるとすぐの統合などありえないが、今の執行部なら信じられないことをやりかねない」といった反発や疑問の声が聞こえてくる。

一方の名大ではまだ情報が行き渡らず、「まったく何も知らない」という農学部の教授もいる。コロナ禍で学内の意思疎通が難しいという事情はあろうが、両大学の情報伝達のアンバランスさも今後、大きな火種になりかねない。

歴史あるキャンパスと名称に愛着を持つ教員や学生、OBらの反発は当然予想される。これまで連携してきた地域や企業、他大学に与える影響も少なくないだろう。丁寧な説明や理解を求め、議論を尽くすことが欠かせないはずだ。

機構側は具体的な回答避ける

両大学の学部や広報室に取材を申し込むと、双方が「機構としてお答えする」とし、約1週間かけて機構事務局長の高橋宏治理事名での文書で回答を得られた。

「東海国立大学機構においては、一般論として、個別の事項についてのお尋ねにその都度回答するようなことはしておりません」としたうえで、農学教育研究拠点の「構想」については「岐阜大学と名古屋大学の農学系学部・研究科は、両者が培ってきた農・生命・食・健康・環境に関わる教育研究リソースを有機的に統合することにより、農林水産業および生物資源産業に係る高度な教育研究の拠点とする」「農学に関連する諸課題を俯瞰的に把握し、最新の技術も駆使しながら課題解決を目指し、国際通用性をもって地域社会に貢献できる人材を育成する」といった抽象論が並ぶ。

そして、「今後の具体化の過程では、両大学の構成員の議論や、社会(ステークホルダー)のご意見も踏まえ、構想を進めていきます」という。

少子化、競争の激化に加えてコロナ禍による環境変化で、大学改革が待ったなしであることは疑いない。東海国立大学機構はその「成功例を示したい」(松尾清一機構長・名大総長)と語ってきた。

入試の時期にも入り、誰もが混乱は避けたいだろう。学生や地域を含めて誰のための大学改革なのかを常に問いただし、一人でも多くが納得できる解を導き出すことが求められる。

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