(第8回)アメリカの赤字拡大は資本取引自由化のため

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 今回の金融危機を「21世紀型の危機」と言う人があった。こう言った人は、証券化を指した場合が多かった。しかし、証券化自体は昔から行われていたことで、格別新しくはない(日本では住宅ローンの証券化がほとんど行われていないので、目新しく映ったのだろう)。新しいのは、以上で述べたような国際的な資本移動である。

日本・中国の経常黒字がアメリカに還流

以上の過程において、日本、中国などのアジア諸国が重要な意味を持っていた。表の下半分に示すように、02年から06年までの5年間において、対米経常黒字の総額は、日本が約0・45兆ドル。中国が約0・89兆ドルである。これは、同期間のアメリカの経常赤字総額3・2兆ドルの42・5%を占める。

日本、中国は、この黒字の大部分をアメリカに還流させた。ただし、表に見る日中の対米資本流出は約1兆ドルであり、世界全体の全体の3分の1程度だ。一見すると、経常赤字のすべてを還流させていないように見える。

しかし、実は、第三国を経由している取引も多いのである。その例として、「円キャリー」取引がある。これはアメリカのヘッジファンドなどによって行われたものだが、日本円を短期で借りてドルに転換し、ドル資産に投資する取引である。この取引は、ケイマン諸島などのタックスヘイブンを経由してアメリカに流入している場合が多い。その実態ははっきりわからない部分が多い。

日本からアメリカに流入した資金がどう使われたのかを追跡するのは、難しい。「カネに色はついていない」ので、日本の金融機関がアメリカ国債TBを買ったのだとしても、それまでTBの購入に充てられていたアメリカ国内の資金がモーゲッジローンに向かうとすれば、間接的には日本の資金がモーゲッジローンに充てられたと考えることができるわけだ。

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