鳥貴族、コロナ禍で打ち出す「新業態の正体」 のれん分けの小型店と焼き鳥以外の業態を準備
自治体からの時短営業要請に企業の忘年会や新年会の中止など、コロナ第3波は居酒屋業界にさらなる苦難をもたらしている。
そんな逆風が吹き荒れる中で健闘しているのが、低価格焼き鳥チェーン「鳥貴族」だ。11月の既存店売上高は前年同月比18.7%減と、40~50%減が散見される居酒屋企業の中では突出した回復ぶりをみせる。
その鳥貴族がコロナ禍の中でも“次の一手”を着々と打っている。創業者でもある大倉忠司社長を直撃した。
社員独立用業態でテスト店
2020年6月1日、大阪市旭区の閑静な住宅街に一風変わった鳥貴族がオープンした。「鳥貴族 大倉家(おおくらや)」と名づけられたその店舗は、カウンター席が中心でテーブル席はたった1つ。チェーンの居酒屋というよりは町の小料理屋のような内観だ。
大倉家は鳥貴族が新しく打ち出した「社員独立用業態」のテスト店舗となる。まずは直営で運営し収益性などを精査するが、実験終了後に社内で独立社員を募り、本格的にFC(フランチャイズ)店として展開していく。
店舗名が「おおくらけ」と読めることから、オープン当初は人気アイドルグループ「関ジャニ∞」のメンバーで大倉社長の長男である大倉忠義さんのファンとおぼしき女性客で賑わったという。大倉社長は、はにかみながら話す。
「開店から1~2カ月目くらいの間はそういう現象(多くの女性ファンが押し寄せた)があった。2店舗目は専務の名前を冠した『中西家』となる予定なので、売り上げが落ちないか心配だ(笑)。
1号店と2号店は大倉社長と中西卓己専務の苗字を店名に入れるようにしたが、これも実験との位置づけ。最終的にはFC店として独立した社員の苗字を入れて展開していく考えだ。
では、「鳥貴族 〇〇家」を始めた背景には何があったのか。居酒屋企業の就職希望者の一定数は、将来的に自分の店を持ち独立を目指している。このような業界特有の事情がそこにはあった。
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