お騒がせYouTuber事務所「VAZ」は変身できるか 新しい経営陣を直撃、目指すは「大人の会社」

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――共同ピーアールは2018年2月にインフルエンサーマーケティング事業や当時スタートした採用事業などとのシナジー創出を狙い、VAZ社に出資しました。谷さんは共同ピーアールの社長です。会社として経営権を取得することもできたと思いますが、なぜ個人で筆頭株主になったのですか。

:VAZが子会社になると、共同ピーアールの連結対象になる。そうすると、VAZが赤字である以上、(ジャスダック上場である)共同ピーアールの業績や株価に影響を与える。コロナ禍で(共同ピーアールの)営業成績も決していいというわけではないため、経営判断として迷うところがあった。

2013年3月、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト(現社名:伊豆シャボテンリゾート)の代表取締役社長に就任。2014年12月よりスーツを設立、代表取締役に就任。2020年10月よりVAZ社長に就任(撮影:風間仁一郎)

社内の監査役などにも、(共同ピーアールとしての経営権取得に)「それはありえない」という形で反対する人がいた。上場会社としては賛成・反対の声が上がるのは健全だ。今回、私が(個人的に)会長になるのさえ反対する人もいた。

私は共同ピーアールの社長として、共同ピーアールが投資したお金を回収しなければいけない。私個人のプライベートカンパニーであればもう一度(共同ピーアールとして)出資するという判断があったかもしれないが、いろいろな人と話して、それはできないと判断した。

再成長できる可能性はある

――では、そうした反対を押し切ってまで個人でVAZに関わるのはなぜですか。

:VAZは非常に魅力的な会社だし、再成長できる可能性がある。それに何をするにしても、反対する人はいる。リスクをどれだけ少なくできるか、ということだ。私はその可能性を追ってみたいと思った。

私が共同ピーアールに来たとき、会社は2期連続赤字で、下手すると上場廃止の一歩手前だった。かなりの社員が辞めていたし、「(経営立て直しに)行っても無駄だ」という人もいた。でも、勘があった。そのときのような感覚が(VAZにも)ある。小松社長となら(経営再建)できると思った。

小松:私はもともと企業再生を生業(なりわい)にしていた。赤字の事業やトラブルがあることには耐性があるほうだ。わずか5年でこれだけの知名度を得て、クリエーターを引き付けてきた会社のポテンシャルは非常に強く感じている。

――人気ユーチューバーのねおさんが、YouTubeチャンネルにてVAZからの退所を報告する動画を投稿したところ、VAZは専属契約の終了を否定。現在に至るまで議論は平行線をたどっていますが、ねおさんはVAZからの退所を主張しています。新経営陣としての見解は。

小松:個別のことにお答えすることはできない。ただ、基本的には会社が今まで出していた(契約解除されていないという)リリースが正しいと考えている。

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