新型「MIRAI」発表でわかった次世代FCVの全貌 究極のエコカーは「マイナス・エミッション」へ

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グレードは、標準的な「G」と本革シートなどが装備される上級の「Z」を設定。それぞれのグレードで「エグゼクティブパッケージ」が用意されている。

エグゼクティブパッケージは、ショーファードリブンを想定した仕様で、助手席肩口パワーシートスイッチや可倒式の助手席ヘッドレスト、シートバックアシストグリップなどが備わるほか、リアドアトリムなどに吸音ファブリックが採用されており、後席での快適性向上が図られたモデルだ。

エグゼクティブパッケージのリアシート(写真:トヨタ自動車)

またGには、「Toyota Teammate Advanced Park」などを装備した「Aパッケージ」も設定される。これは、ハンドル操作、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジの全操作を車両が支援するとともに、俯瞰映像に車両周辺の死角や目標駐車位置などを常に表示し、安全/安心でスムーズな駐車を実現するシステムだ。

ボディカラーは新規開発色を含め、全8色をラインナップ。価格は「G」が710万円、同「A Package」が735万円、「Executive Package」が755万円、「Z」が790万円、同「Executive Package」が805万円となる(いずれも税込み)。

ここに、エコカー減税や環境性能割、グリーン化特例といった税制面での優遇に加え、CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)の対象となっていることから、最大で141万9000円(Z Executive Package)の優遇措置を受けることが可能だ。

水素社会実現への新たな出発点となるか?

一方で、水素ステーションの数は準備中も含め、全国で約157基(内計画中26基、2020年7月現在)と、まだまだ普及しているとはいいがたい状況となっている。

そうした利便性の問題を抱えつつも、優遇税制や補助金などの追い風を受け、「究極のエコカー」としての環境性能だけでなく、「走ることが楽しく快適なクルマ」としての完成度が追求された新型MIRAIは、トヨタの思惑通り、将来の水素社会の実現に向けた新たな出発点となりうるのだろうか。

菅総理大臣による「2050年カーボンニュートラル宣言」の観点からも、新型MIRAIがどう受け入れられていくかは、興味深いところである。

先川 知香 モータージャーナリスト

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さきかわ ちか / Chika Sakikawa

初めて見たバイクレースでマシンをバンクさせながら膝を擦って進入していくコーナリングを自分もやってみたいと思ったのをきっかけに、マシンを操ることの面白さを知り、その面白さを多くの人に伝えるべくモータージャーナリストを志す。現在の対象は2輪から4輪までと幅広く、Web や紙媒体で執筆中。愛車は Kawasaki Z250 とGASGAS、TOYOTA86 MT 仕様。休日は愛車でのサーキット走行やトライアルにも挑戦中で、公私共に乗り物漬けの日々を送る。

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