コロナで無観客「異例ずくめマスターズ」の影響 パトロンも会場に入れず歓声なしのプレー風景

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パトロンにとってマスターズの楽しみの1つは、お土産を買うことである。会場内限定で、マスターズのマークのついた、キャップ、Tシャツ、ゴルフグッズ、マスターズベアなどの限定グッズが販売される。販売金額は公開されていないが、毎年5000万ドル(約52.5億)近く売り上げがあると推定される。

2020年のマスターズのお土産(写真:筆者撮影)

しかし4月の大会が延期され、11月もパトロンが入れない無観客試合となったので、2020年のロゴの入ったグッズなどの売れ残りが心配されていた。

そこで今回は、チケットを持っているパトロン向けに限定の通販サイト「the Masters Patron Shop」がマスターズ期間に開設。パトロンしかアクセスできないため、定価28ドルのキャップがほかの通販サイトでは3倍以上の値が付く人気になっている。

会場に入れないパトロンのために、テレビを見ながら会場の雰囲気を味わえるようにと、マスターズ委員会の粋な計らいもあった。会場内でのみ通常は販売される、特製のマスターズマークの入った包装のポテトチップやスナック、コップなどのセットを150ドルでオンライン販売していたのだ。

選手に与えた秋開催の影響

選手にとっても秋の大会は異例ずくめだった。4月に比べて、11月は日没が2時間程度早いため、予選のスタートはアウト・インからスタートとなった。コースコンディションも違い、優勝したダスティン・ジョンソンのスコアは20アンダーの大会新記録であったが、マスターズ特有の「速い・硬い」グリーンではなかったことも理由の1つではないかと言われている。

しかし最大の違いは、やはりパトロンがいなかったことであろう。ゴルフを熟知したパトロンによる、ナイスプレーへの歓声が今回は失われてしまった。タイガー・ウッズもインタビューで「Absolutely they did. They helped me win.(昨年の優勝は彼らの後押しがあったからできた)」とパトロンがいることの意義を語っていた。

無観客試合が与える地元経済への影響も大きそうだ。通常であればマスターズ期間の1週間で約25万人が訪れ、ホテル、レストラン、旅費を含めて約100億円の経済効果があると推定される。この1週間があることで「1年が13カ月ある」とも言われている。

しかし、無観客試合のため、例年のマスターズ期間は10~20倍に跳ね上がるホテル料金も通常料金で販売。1年前から予約しないと取れない部屋は、11月のマスターズ期間でもガラガラで、予約サイトで見てもいつでも取れる状況だった。レストランも同様だと、いつも宿泊する「Augusta Best Inn」のマネージャーは嘆いていた。

来年の4月、新型コロナの感染状況が改善し、パトロンの歓喜の声に包まれたマスターズが開催されることを期待せずにはいられない。

嶋崎 平人 ゴルフライター

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しまさき ひらと / Hirato Shimasaki

1976年ブリヂストン入社。1993年からブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当、退職後、ライターのほか多方面からゴルフ活性化活動を継続。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

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