東証に行政処分、システム障害の「真因」は何か 開発は富士通頼み、求められる「装置産業化」
10月1日に株式売買が終日ストップした東京証券取引所のシステム障害について、金融庁は11月30日、東証と親会社の日本取引所グループ(JPX)に対し、業務改善命令を出した。
行政処分を受けて、東証の宮原幸一郎社長が同日付で辞任。JPXの清田瞭グループCEOは4カ月間、月額報酬を5割減額し、東証社長を兼任することになった。システム開発を担う富士通も、時田隆仁社長の役員報酬減額を発表した。
富士通は2010年1月に稼働を開始した東証の売買システム「アローヘッド」を開発してきた。2015年に2代目に切り替わり、2019年11月には処理速度や処理容量を増強した3代目に切り替わった。
不具合で自動切り替えできず
システム障害を受けてJPXが設置した調査委員会が公表した報告書によると、アローヘッドは10月1日午前7時4分、共有ディスク装置の1号機の異常を検知し、東証は6分後の7時10分に富士通に連絡した。
同装置の1号機に不具合があれば2号機に自動で切り替わるはずが、初期設定や操作説明書に不備があり、自動で切り替わらなかった。そこで手動での切り替えを試みたが、手動切り替えのコマンドを把握するのに時間がかかった。手動切り替えに成功したのは、異常を検知してから2時間以上経った午前9時26分のことだった。
調査報告書は1号機に故障が発生した後に自動で2号機に切り替わらなかったことについて、「製品マニュアルの記載の誤りの原因及び責任は作成者たる富士通にある」と結論づけた。
その一方で、2018年10月にシステム障害が起こった際、証券会社に意見を聞かなかったことが問題視されたため、今回は証券各社やシステムベンダーにヒアリングを行い、取引再開に向けた検討を始めた。
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