フェイスブック「見る専門の人」ほど心が病む訳 特に自己評価が低い人は精神状態が悪くなる

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そんなわけで、自己評価が低く自信がない人は、SNSのせいで精神状態が悪くなるリスクを抱えている。自分を他人と比較しがちだからだ。基本的には誰だって周りと比べて自信が持てなくなったり不安になったりはする。

人生にはそんな時期がある。そう、思春期だ。現在のティーンはSNSに取り憑かれていると言っても過言ではない。12~16歳の若者4000人を対象にしたアンケート調査では、7人に1人(14%)が1日に最低6時間をSNSに費やしていた。起きている時間の実に3分の1以上だ。

SNSを使う子供ほど満足度が低い

1万人近い10歳児に5年間、精神状態、友達や自分の見た目、学校や家族に満足しているかという質問をしたところ、年を経るごとに、全体的な満足感が下がっていった。おかしなことではない。基本的にその年頃は、幼い頃よりも人生がつまらなくなっていくものだ。脳のドーパミンのシステムがその頃に変化するのも一因かもしれない。

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ここで興味深いのは、特にSNSをよく使う子のほうが満足感が低いことだ。ただ、その傾向は女子にだけ見られ、基本的には女子のほうがSNSを利用している。研究者たちの推測はこうだ。「SNSというのは常に繋がっていなければならないものだ……彼女たちは常に〝完璧な容姿〟や〝完璧な人生〟の写真を見せられ、自分と他人を比較するのをやめられなくなる」

SNSが、一部のティーンエイジャーや大人の気分を落ち込ませ、孤独を感じさせ、さらには自信まで失わせているという兆候が大いにある。特に、女子がひどく影響を受ける。しかも、その影響はもっと広範囲に及ぶのかもしれない。

アンデシュ・ハンセン 精神科医

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Anders Hansen

ノーベル賞選定で知られる名門カロリンスカ医科大学を卒業後、ストックホルム商科大学にて経営学修士(MBA)を取得。現在は王家が名誉院長を務めるストックホルムのソフィアヘメット病院に勤務しながら執筆活動を行う傍ら、有名テレビ番組でナビゲーターを務めるなど精力的にメディア活動を続ける。前作『一流の頭脳』は人口1000万人のスウェーデンで60万部が売れ、その後世界的ベストセラーに。

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