「充実野菜」「ルーツ」を作った男の"成功法則" 伝説のマーケッターは、なぜヒットを出せるのか?

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こうした経験で得たことは、調査はあくまでも調査なので、信じすぎないこと。調査だけでヒット商品が開発できれば、誰も苦労しません。そして、本当に欲しいものをお客様の口から言ってもらうのではなく、こちらが率先して見つけ出すこと。

私は「お助けモード思考」と呼んでいるのですが、相手の不満や文句の中から潜在的なニーズを読み解き、お客様の問題解決を助けようという考えが大事なのです。そのうえで、最後は自分を信じること。やれることをやり、それを実行したら、後は市場原理に任せるのみです。

【鉄則02】 現場の都合を聞きすぎない

とあるペットボトルの飲料を開発していた際、商品名を大きく見せようとボトルの口元までラベルを引き延ばしたいと提案しました。ところが、製造工場側は「前例がない!」というだけで拒否。また、キャップに色をつけてみるというアイデアを社内で出したときには「ハンドリングが大変だ!」と猛反対されました。

結局、アイデアを実現できなかったこの飲料は、プロモーションでは成功しましたが、競合商品に勝つことができず、1年で市場から姿を消しました。しかし、ラベルの引き延ばしも色つきキャップも、その後の商品で難なく実現しました。結局、現場はただ面倒を嫌っていただけだったのです。現在、こうしたラベルやキャップは、ごく一般的な仕様として普及しています。

お客様がこれまで見たことがなかったものにこそ、成功に至る本物の価値があります。それは、作り手自身が「それはできない、ダメだ」と考えてしまいがちな領域に秘められている。ですから、たくさんの壁を突破しなくてはなりません。「前例なんぞ、くそくらえ!」の気持ちで。その過程で上司や同僚、取引先から嫌われるかもしれませんが、それと顧客に喜ばれるのと、どちらがいいでしょうか。どこを向いて仕事に取り組むかが、ヒットを生み出す秘訣だと思うのです。

【鉄則03】 机にしがみついてもアイデアは出ない

差し迫った課題を解決しようと机にしがみつき、アイデアをひねり出そうとしても、いたずらに時間を浪費するばかりです。机の前で煮詰まり、「どうして俺はこうなんだ……」と思い悩んだ時期もありました。ググッて情報をたくさん仕入れても、それ自体はあまり役には立ちません。

情報は獲得するよりも、それを使って、どう行動に移すかが大事。実際に体感することは、バーチャル世界の情報と接することとはまったく違います。CDを聞いて「いい曲だな~」という程度だったのに、生のライブで聞いたら「涙が出るほど感動した!」と、段違いの刺激を受けたときと同じです。

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