カングーが「賛否両論の大変身」を行った理由 2021年の発売を前に見えた新型カングーの全貌

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現行型がフロントマスク、フロントウインドー、サイドウインドーなど各所に優しい丸みを携えているのに対し、新型は直線基調の機能的なフォルムを備えている。

これはローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏が指揮する今のルノー・デザインが、2012年に本国でデビューした先代「ルーテシア」から展開を始めており、現行カングーはその前の発表であることが関係していると思っている。

しかも、少し前に「ルーテシア全面改良でも旧型に似ている訳」で書いたように、ルーテシアは日本でも今年10月に新型に切り替わっており、スタイリングは先代より直線基調になった。カングーの上に位置するLCVの「トラフィック」および「マスター」も、カングーに先駆けて直線基調のスタイリングにモデルチェンジしており、最近のマイナーチェンジでその傾向を強めている。カングーがこれまでよりシャープなラインをまとうのは当然に思えてくる。

新型カングーの本国版プレスリリースでは、スタイリングについて「アスレチックでダイナミック、筋肉質なエクステリア」という表現を使っている。

「可愛らしさ」が日本でのカングー人気の一翼を担っていただけに、SNSなどではこのデザインに対して賛否あるようだが、現行型とは異なるコンセプトであることが、この言葉遣いからもうかがえる。

カングーとエクスプレスで異なるスタイリング

カングーとエクスプレスの違いは、フロントマスクについてはほとんどない。ワゴンがボディカラー、バンが黒になるバンパーの造形が異なることが発見できるものの、グリルやヘッドランプはほとんど同じだ。

むしろ、ボディサイドのほうが差別化は明確だ。カングーではサイドウインドーがフロントからリアまで連続した面なのに対し、エクスプレスではリアドア以降のサイドパネルが外に張り出しており、フロントドアとの間に段差がある。カングーの前任車としてヨーロッパのみならず日本でも販売された、旧型エクスプレスを思い出すような造形だ。

サイドビューが異なるカングーエクスプレス(写真:ルノー)

ハイトワゴンとしての洗練されたフォルムを目指したカングーとの違いをこんな形で表現できるのは、この種のクルマづくりの経験が豊富である証拠だろう。

現行カングーは全長が3種類、存在した。日本では一時期、スタンダードのほかにショートバージョンを「カングー ビポップ」の名前で販売していた。新型はスタンダードとロングの2種類で、ロングの設定はカングー・バンのみとなっている。

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