不動産を知り尽くす男たちが語る「ウラのウラ」 「仲介手数料半額」にただ喜んではいけない

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写真左より、正直不動産の原案者である夏原武さん、写真右は不動産業者最大のTwitter集団「全宅ツイ」のグリップ君(写真提供:小学館)

不動産業界の闇を克明に描き出す話題の漫画『正直不動産』(漫画:大谷アキラ 原案:夏原武 脚本:水野光博)。
その原案者である夏原武氏が不動産業者最大のTwitter集団「全宅ツイ」のグリップ君と、“身近なようでいて、よく知らない”不動産業界について語り合った。
赤裸々ながら、消費者が知っておくべきリアルな現実とは?

「正直不動産」はどれだけリアル?

夏原:「全宅ツイ(全国宅地建物取引ツイッタラー協会)」は、総勢で何名くらいいるんですか?

グリップ君:正確には把握できないんですが、私が顔を合わせたことがあるだけで約100名はいます。

夏原:以前、グリップ君に『正直不動産』単行本第7集帯の推薦文をお願いしたら、「非推奨」と言われたんですが(笑)。全宅ツイの皆さんは、『正直不動産』をどんなふうに読んでいますか?

グリップ君:「非推奨」は冗談ですが、『正直不動産』の初期は、とにかく不動産会社が悪く描かれすぎていて(笑)。当時私は物件の仕入れ担当だったので、取引相手は個人消費者ではなく不動産のプロだったんです。ウソはすぐばれて、干されるだけ。だから、ここまでウソばかりじゃないぞと思って読んでました。

夏原:最初は不動産のことをまったく知らない人、個人消費者をメインターゲットに物語を紡いでいったので、不動産業者が悪役として目立つんでしょうね。連載が続く中で幅広い読者がついてきてくれて、不動産業者についても、さまざまな描き方ができるようになりました。

グリップ君:そうなんです。読み進めると、だんだん主人公・永瀬財地の心情に共感する部分が増えました。悪役だった不動産業者の登場人物が別の回では手を貸してくれる場面も出てきて、とても面白く読めるようになりました。

夏原:でも、「こんな悪いやつはいない」という人もいれば、「実際は、もっともっと悪い」と言ってくる人もいる(笑)。 不動産はとても広い世界だから、立場によって別の見え方があるんでしょうね。実際は、周りが思うほど簡単な商売ではないですしね。

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