三井不動産、「東京ドーム買収劇」までの内幕 買収の先に見据えるのは後楽園再開発?

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東京ドームは三井不動産の完全子会社となる予定だ(編集部撮影)

三井不動産は11月27日、東京ドームにTOB(株式公開買い付け)を行い、完全子会社化すると発表した。買い付けは30日より開始され、買い付け規模は約1205億円となる見込みだ。

東京ドームをめぐっては、コロナ禍でプロ野球をはじめとするイベントの開催延期や中止が相次いだほか、物販やホテルの売り上げが落ち込んだ影響で、2020年2~7月期は98億円の純損失を計上した。加えて香港投資ファンドのオアシス・マネジメントから経営陣の刷新を求められるなど、苦しい経営状況にあった。

そんな中で降って湧いた三井不動産による救済劇。事の発端はまだ「コロナ禍」という言葉すら一般的でなかった2020年1月にまで遡る。

全株を買い取る用意があった

東京ドーム株を9.61%保有するオアシスは1月30日、東京ドームに対して買収を仄めかす書簡を送付した。東京ドーム株を1株1300円(30日時点の終値は1013円)で、全株を買い取るという内容だ。

その翌日、オアシスは「より良い東京ドームへ」と題する経営改革案を公表。現状の東京ドームは、ドームやホテルなどへの投資が不十分であり「宝の持ち腐れ」と指弾。ドームへのサイネージ広告導入やホテル・遊園地の運営効率化など、オアシスの改革案を実行すれば収益改善や株価上昇に寄与するとうたった。オアシスはいわゆるアクティビスト(物言う株主)であり、経営陣に対して揺さぶりをかけた格好だ。

突然の申し出に対して、ひとまず東京ドームはオアシスと協議の場を設けた。面談は2月中旬及び6月中旬に行われたものの、オアシスから具体的提案を受けることはなかったという。これ以降交渉の進展はなかったが、その理由については「経営陣との建設的な対話が繰り返し拒絶された」(オアシス)、「6月以降オアシスから面談の要請はなかった」(東京ドーム)と、両者の言い分は食い違っている。

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