三井不動産、「東京ドーム買収劇」までの内幕

買収の先に見据えるのは後楽園再開発?

オアシスとのつばぜり合いをよそに、コロナ禍がじわじわと東京ドームの業績を蝕んでいく。2月頃からイベントの中止やホテルの宿泊・宴会のキャンセルが目立ち始め、3月には遊園地の「東京ドームシティアトラクションズ」が休園。プロ野球の開幕延期も決まり、東京ドームの稼働率は前年の4割まで下がることが濃厚となった。緊急事態宣言を挟んで5月から営業を再開したものの、外出自粛や行動様式の変化で客足が思うように戻らない。

築32年の東京ドームを始めとする老朽化した施設の刷新、東京ドームシティ内での回遊性向上、東京ドームシティ以外の事業とのシナジー創出――。ウィズコロナ時代を迎えるにあたり、東京ドームの抱える課題は山積していた。「急激な環境変化に対応するには、東京ドームシティ全体の再整備が必要だ」。危機感を募らせた東京ドームは、他社との提携を模索し始める。6月上旬、不動産開発やコンテンツなど相乗効果が見込まれる企業に対して、資本業務提携の打診に動き出した。

キューピットはあの読売新聞

都心に4万坪――。東京ドームが保有する資産にかねてから目を付けていたのが、三井不動産だった。三井不はもとよりスタジアムやアリーナ経営への進出を模索しており、東京ドームシティという集客力の高い施設や、読売巨人軍という強力なコンテンツを有する東京ドームと連携する機会をうかがっていた。

三井不動産はかねてから東京ドームに関心を持っていた(記者撮影)

三井不は2010年から2015年にかけてオフィスビルを賃貸していた経緯から、読売新聞グループ本社とのパイプがあった。そこで6月上旬、読売新聞グループ本社に対して東京ドームの担当者の紹介を依頼し、東京ドームの株式取得を申し出る。読売側も、東京ドームが提携先を模索していることを伝え、東京ドームの担当者を紹介する。

当時、東京ドームでは三井不以外にも複数社を提携先として検討していた。7月に入ると、東京ドーム、読売新聞グループ本社、読売巨人軍が共同で記者会見を開き、コロナ対策やドームへのメインビジョン設置など総額100億円規模の投資を表明。提携先企業の選定も本格化し、ウィズコロナに即した東京ドームの方向性を模索する動きが慌ただしくなっていた。

8月上旬、東京ドームは財務アドバイザーを通じて候補企業に対し、具体的な提携内容、東京ドームの株式取得割合や金額、提携後の役職員の取り扱いなどを盛り込んだ提案書の提出を求めた。提案書は8月下旬から集まり始め、一部ではデューデリジェンス(買収先企業の資産やリスクの調査)も始まった。

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