エアガンで撃たれても遊び?いじめ裁判の難点

被害者はPTSDになり、今も苦しみ続けている

2012年6月頃、加害者BとCに佐藤さんが連れてこられ、加害者Dが合流して、お菓子代を脅し取られた経験もあった。放課後には通学路の歩道橋でも暴行された。

「歩いている僕に(自転車を)ぶつけてきました。すごく痛かったのを覚えています。嫌だとは言えないんです。帰宅時間は中学生だけ。ほかの生徒も止めません」

暴行を受けた通学路は、佐藤さんの自宅に帰るには遠回りだ。付いていかざるをえないのは、カバンを加害者の自転車に固定されていたから。佐藤さんは「従っておかないと、いつ殺されるかわからない」と思っていた。

神社で行われた「サバイバルゲーム」

毎日のようにエアガンで撃たれているためか、佐藤さんは、体や心の痛みを回避するため、解離症状を発症していく。自宅近くの神社でもエアガンは撃たれた。ここで行われていたのは「サバイバルゲーム」だ

「加害者AとBとCが僕を盾にしていた。盾になっているときは、加害者たちは撃たない。その代わりにお金をよこせ、と言われるんです。これを“平和条約”と呼んでいました。ただそのうち、僕だけが標的になっていました。この“条約”は学校で暴力を振るわれているときも同じです。(加害者の盾になっている場合は)暴力は振るわず、かばうふりして、お金を取るんです」(佐藤さん)。

ほかにも商業施設に遊びに行ったときなどに、同級生に金を渡している。

佐藤さんは自分が将来のために貯めておいたお年玉などを取られ、妹の貯金に手をつけた。さらに母親の脳梗塞の再発に備えた保管されていた70万円も差し出していた。

佐藤さんがいじめられていたと主張する時期は、中学1年生の4月から10月中旬。母親は当時、脳梗塞で入院中だった。合計で少なくとも100万円を加害生徒たちに奪われた。

いじめに気がついたのは妹。和威さんの体に傷を見つけたのだ。いじめを疑った家族は和威さんに黙ってICレコーダーをカバンに仕掛け、加害者とのやりとりを録音できたことで発覚した。弁護団は、和威さんへのいじめを「拷問・恐喝行為」と位置付けて、裁判を起こした。

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