JR西「ブラジル鉄道事業」出資5年で何を得たか リオの都市鉄道に参画、日本との違いに驚き
日立製作所や川崎重工業など日本のメーカーが製造した鉄道車両が世界各地で活躍している。鉄道事業者による鉄道運営の海外展開は車両メーカーと比べると事例は少ないが、東京メトロがベトナムで現地運営会社の支援、フィリピンで都市鉄道の人材育成、インドネシアで運営維持コンサルティングを行うなど東南アジア諸国で積極的な動きを見せている。
JRでは2007年に開業した台湾高速鉄道において、JR東海の三島研修センターで研修を受けた台湾人の教官が乗務員の育成に当たっている。JR東日本もタイで車両や地上設備のメンテナンスを行ったり、インドで進められている高速鉄道プロジェクトにおける技術支援を行ったりしてきたが、2017年12月にはオランダの鉄道会社アベリオや三井物産とともにイギリスの旅客鉄道会社ウェストミッドランズトレインズ事業の運営を開始し、本丸の鉄道運営に乗り出した。
三井物産・JOINと参画
JR西日本は2015年12月、ブラジル都市旅客事業への出資会社「ガラナアーバンモビリティ(GUMI)」の株式33.9%を取得し、海外鉄道事業の経営に乗り出した。GUMIへの出資比率はJR西日本のほか、三井物産が50.1%、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が16.0%出資している。
当初、GUMIはブラジル最大級のコングロマリット、オデブレヒトグループと組んでブラジル国内の鉄道4事業(リオデジャネイロ近郊鉄道、サンパウロ地下鉄6号線、リオデジャネイロLRT、ゴイアニアLRT)の経営にあたってきた。出資比率は、オデブレヒトが60%、GUMIが40%。出資者全体から見ればJR西日本の位置づけはかなりマイナーだった。
その後スキームが大きく変更され、2019 年5月にGUMIは4社のうち、リオデジャネイロ近郊鉄道を営むスーペルヴィアの支配株主となった。GUMIに出資する三井物産、JOINともに鉄道運営の現場ノウハウを持っているわけではない。必然的にJR西日本はスーペルヴィアに対する積極的な関与が期待されることになった。
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