ホンダが「自動運転レベル3」世界初となる訳 なぜ日本が世界に先駆けて実現できたのか

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自動車はグローバルな商品だけに、アウディとしてはドイツの認可だけで自動運転の搭載を進めるわけにはいかなかったのだ。

それに対して日本では、国土交通省が定めた自動運転車の定義に基づくロードマップや、東京オリンピック開催といった流れの中で、2020年度を目標に世界に先駆けてレベル3を実現させようとする機運が生まれていた。加えてWP29の中で、渋滞時でのレベル3を認める改定が行われる見通しが立ち、それに先行して日本は道路交通法と道路運送車両法を改正して準備を整えた。

自動運転車であることを示す国と交通省指定のステッカー。これを車体後部に貼り、外部から自動運転で走行している可能性がわかるようにすることが要請されている(画像:国土交通省)

そして今年6月、WP29第181回会合で乗用車のレベル3(システムの要請に応じて手動運転)自動運行装置とサイバーセキュリティの国際基準が成立。今回の型式認定に至ったというわけである。

自動車保険も「自動運転」対応を発表

このように、レベル3を実現する環境は着実に整いつつある。ドイツでは2021年半ば頃にレベル3を実現する承認手続きが完了する見通しで、メルセデス・ベンツもそれに合わせて新型「Sクラス」で実現することを発表した。当然、アウディがそれに続くのは間違いない。

日本への導入が待たれる新型「Sクラス」(写真:ダイムラー)

日本のメーカーは、今のところホンダ以外に際立った動きはないが、それでもハンズオフ運転に対応するモデルを相次いで登場させており、つい先日もレクサスの新型「LS」に同機能を実現する「Advanced Drive」の搭載が発表されたばかり。各社ともこれから先、フラッグシップモデルを中心にレベル3を投入してくる可能性は十分ある。

また、ソフトの面でのサポートも、レベル3の実用化に向けて動き出している。東京海上日動火災保険は、2021年4月以降に始期を迎えるノンフリート自動車保険を対象に、自動運転レベル3で発生した事故について「ノーカウントとする」と発表した。

これにより、レベル3で事故が発生して相手方に保険金を支払った場合でも、翌年の保険料に影響することはなくなる。こうした動きを受け、ここ数年でレベル3に対する動きが一気に加速する可能性は十分あると見ていいだろう。

会田 肇 カーAV評論家

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あいだ はじめ / Hajime Aida

自動車雑誌出版社で編集職に携わった後、フリーランスへ。カーナビの黎明期より進化の過程を追い続け、その発展形であるインフォテイメント系のレポートも行う。使い手の立場でわかりやすいレポートを心掛け、掲載媒体は自動車専門媒体からモノ系媒体にまで及ぶ。カメラ系の情報にも詳しい。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。

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