マイケル・J・フォックスが引退表明した理由 難病との戦いにも負けない「素敵な楽観主義者」

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そこでのスピーチで、彼は、「ここにいるみなさんの多くは、僕のことを、テレビや映画でご存じかと思います。でも、今日ここで語ることは、セレブリティーとは何の関係もありません。僕が初めてパーキンソン病のことを明かしたとき、多くの人は驚きました。1つは、僕がまだ若いことです」

「僕は病気のことを隠していたのは、恐怖、認めたくないという気持ちがあったからでした。それに、黙ってこれを乗り越えようとも思っていました。でも、公にしたときの反響に、僕は感動し、喜びを感じ、インスピレーションを受けました。同じ病気に悩む人々が、僕を勇気づけてくれたり、自身の体験を語ったりしてくれたのです。それは、苦しみ、フラストレーション、そして希望の話でした」

「パーキンソンとの戦いは、勝てる戦いです。僕はその勝利のために貢献すると決めました。セレブリティーとして僕ができることは、人々にこの問題に注目してもらい、研究のために必要とされているお金を獲得することです」と述べている。

上院予算委員会に出席するにあたって、フォックスは意図的に症状を抑えるための薬を飲まなかった。この病気がどんなものであるかをしっかり見てもらうためだ。

後に、フォックスは「このような状態の僕を初めて見た人々は、きっとショックを受けたことでしょう」と語っている。このときまでに、彼は酒もすっぱりやめている。長男サムは、成長してから、「一番小さな頃の思い出は、パパのために冷蔵庫からビールを取ってきてあげることだった」と、フォックスに語ったそうだ。

一度は引退を取り下げるも…

『スピン・シティ』が終了した2002年から、フォックスはしばらくテレビや映画から遠ざかるようになる。これが、「1度目の引退」だ。

しかし、2004年から、テレビドラマのゲスト出演などで少しずつまた顔を出し始め、2010年には『グッド・ワイフ』(2009-2016)に26話も出演した。さらに2013年には、『マイケル・J・フォックス・ショウ』(2013-2014)で、『スピン・シティ』以来初のレギュラー出演を果たす。

ストーリーはフォックス自身の体験に緩やかにもとづくもので、彼が演じるマイク・ヘンリーは、パーキンソン病を抱えている。診断を受けてマイクはキャリアを諦めるが、4年後、病気と向き合いながら仕事に復活するというものだ。残念ながら視聴率は芳しくなく、契約通り22話が作られたものの、NBCは15話まで放映したところで、打ち止めた。

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