アリコジャパンの前途、AIGがついに売却
ようやく買い手が決まった。米当局管理下で再建中のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は3月8日、傘下の保険子会社アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー(アリコ)を、米生保最大手のメットライフに売却すると発表した。譲渡額は155億ドル(約1兆4000億円)、そのうち68億ドルを現金、残りはメットライフの自社株式で支払われる。
AIGにとって子会社の売却交渉は平坦な道のりではなかった。日本の生保子会社、AIGエジソン生命とAIGスター生命は売却先を探したが買い手がつかず、断念。両社は当面、そのまま営業を継続する見通しだ。
アリコの売却についても「当初、仏アクサなど4社が名乗りを上げていた」(外資系保険会社幹部)といわれるが、金額面でなかなか折り合いがつかず、交渉の行方は不透明だった。メットライフに決まったものの、売却の意思表明からすでに1年以上が経過している。
今回の発表直前、3月1日にAIGは香港の生保子会社、アメリカン・インターナショナル・アシュアランス(AIA)を英プルデンシャルに売却すると発表。アリコ売却とで得られる合計約507億ドルを、米政府からの公的資金返済に充てる見通しだ。
2度のダメージ
「既存の生保会社の買収であり、国内でのシェアが一気に変わる可能性はない」
業界関係者はそう語るが、アリコの親がメットライフに変わることで、日本の生保マーケットに与える影響が皆無とは言い切れないだろう。
1921年に設立されたアリコは世界中で生保事業を展開し、運用資産が米保険会計で890億ドル、年間売り上げは約323億ドルに上る。その資産の7割は、73年に進出した日本支社のアリコジャパンが占めている。同社は国内で通販、銀行窓販、代理店、コンサルティング(対面販売)など販売チャネルの多様化を進め、保険料収入では業界6位、国内の外資系生保としては最大手だ。