消費税軽減税率は、低所得者対策にならない

集団的自衛権と軽減税率問題は、独立して考えよ

これを受けて、今春から消費税率の軽減税率についての議論が、与党税制協議会で始まった。与党税制協議会の議事の模様は、詳細にはわからない。政府税制調査会とは異なり、与党税制協議会の配付資料等は開催直後に公開されることはないから、マスコミの取材による概要の情報によるしかない。そこで、各社報道ベースによると、次のような議論の展開になっているという。

軽減税率の焦点は「品目」と「経理方式」

まず、軽減税率を適用するとしたらどの品目に適用するかが議論されたようである。報道によると、軽減税率の対象品目を、飲食料品に絞り込む方針が示された。公明党が当初提案していた新聞・書籍は除外する方向のようだ。そして、「すべての飲食料品」、「すべての飲食料品から酒、外食を除く」、「生鮮食料品に限定」、「コメ、みそ、しょうゆのみ」、「精米のみ」など8通りのパターンを示された。各パターンで、消費税率を1%下げるごとにいくら減収になるかも明らかにされ、軽減税率の対象品目が最も多い「すべての飲食料品」だと6600億円、「生鮮食料品に限定」では1800億円、最も対象品目が少ない「精米のみ」だと200億円となるという。

もう1つの焦点は、軽減税率を導入する場合の経理方式で、次の4案が検討されたという。

・現行制度…請求書に合計金額のみ記載可能(「請求書等保存方式」と呼ばれる)

・第1案…現行の請求書等保存方式に税率ごとの代金を区分して記載する

・第2案…第1案を微修正し、売り手に請求書の交付を罰則付きで義務付ける

・第3案…国税庁から事業者番号の発行を受け、請求書に品目ごとの税率と税額を表示する(いわゆるヨーロッパ型インボイス方式)

・第4案…ヨーロッパ型インボイス方式を微修正し、事業者番号の記載を求めず、請求書に品目ごとの税率と税目を明示する

もともと、公明党は、自らのウェブサイトで「軽減税率導入時における納税事務手続について(平成23年12月10日)」を公表しており、その内容は上記のうち第1案に該当する。ヨーロッパ型インボイス制度は導入せず、現行の請求書等保存方式を活用し、税率ごとの取引を区分表示するとしていた。ところが、与党税制協議会の会合終了後に、公明党幹部は、事業者から理解が得られるならインボイス方式を容認する旨の発言をしたという。

では、消費税の軽減税率をどうみればよいだろうか。
 欧州諸国では多くの国で軽減税率を導入しているという見方がある。しかし、実際のところは、政治的な妥協の産物でしかない。軽減税率を経済理論から論理的にサポートすることは極めて困難である(最適課税理論という経済理論があって、詳細は割愛するがその観点から言えば、必需品にはむしろ他より高い税率を課すのが望ましいという命題が証明されている)。

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