「日本版ライドシェア」、運営会社の厳しい実態 国内最大手CREWがサービスを長期休止へ

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CREWの公式サイトにはサービス長期休止の告知が載り、11月30日までに売上の出金をするよう呼びかけている(同社ホームページより)

「モビリティ・プラットホーム『CREW』は2020年12月28日(月)をもって、カスタマーサポートを含む全てのサービスの提供を止め、長期の運営休止とする運びとなりました」

タクシーではない一般のドライバーと乗客をマッチングするライドシェア・アプリ「CREW(クルー)」の運営会社、Azit(アジット:東京都渋谷区)が、同事業を長期休止する旨の告知を出した。

都内や地方の観光地、交通過疎地域などを対象に事業を提供してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で利用者が激減。すでに4月からマッチング機能のサービス提供は休止しており、コロナ影響が続く中で早期の再開を断念した。年内にサーバーを停止し、アプリ自体が開けなくなる。

Azitの吉兼周優CEOは、「コロナの影響で人が移動しなくなり、タクシー並みかそれ以上に利用者が減った。この状況でCREWの事業を伸ばしていくのは難しい」と話す。再開時期のメドは立っておらず、このまま事業撤退となる可能性も否定できない。同社は今後、新規に始めたバイク便のマッチンングアプリ事業に注力するという。

日本独自の仕組みでライドシェア

ライドシェアはシェアリングエコノミーの1つで、一般のドライバーが自家用車で目的地まで運んでくれるサービス。アメリカのUberやLyft、中国のDiDi(滴滴出行)が世界的に有名だ。

基本的にタクシーよりも料金設定が安く、別の乗客との相乗りならさらに安く移動できる。ドライバー側も車さえあれば手軽にお金を稼げるため、アメリカや中国では爆発的な勢いでライドシェアの利用者が広がった。

一方、日本では、こうした一般ドライバーによる客の有償運送がいわゆる、「白タク」行為として道路運送法で禁じられている。UberやDiDiのアプリは国内でも使えるが、日本で利用者のもとに来るのはあくまでタクシー・ハイヤー会社の車両だ。これは「配車アプリ」であって、ライドシェアではない。

そうした中、日本版のライドシェアサービスとしてスタートしたのが、「CREW」や「notteco(のってこ!)」、「nori-na(ノリーナ )」だった。

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