FC東京が「ACL」に並々ならぬ意欲を示すワケ 大金直樹社長が語る「コロナ禍のクラブ経営」

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それに加えて、彼らには昨季末現在で22億8100万円の純資産もあるため、財務体質はJリーグでもかなり良好だ。さらに言うと、彼らは首都・東京に本拠を置くJ1唯一のクラブ。それを含め、強みを生かしながら、コロナ後の復活の牽引役になっていくことが重要な責務と言っていい。

ACLというビッグタイトルが残されているのはクラブにとっての明るい材料だ。このタイトルを取れれば約4億超の賞金が入ってくるだけに、是が非でも手にしたいのが本音だろう。

その後にはYBCルヴァンカップ決勝も控えている。チームが成績を残せば、離れていた観客も戻ってくるだろうし、新たなスポンサー契約の可能性も広がってくる。そういった好循環にしていくことが、大金社長の理想ではないか。

大金社長「目標を凍結しリスタート」

「今季を迎える前に『2023ビジョン』を作り、J1優勝や観客数3万人キープなどを目標に定めたのですが、それをいったん凍結しリスタートするというのが今の考え方です。私が活動休止期間にスタッフに伝えたのは、①新しい文化の構築、②企業基盤の再構築、③クラブに関わる人との関係の再構築……の3つを含んだRe STARTです。

リモートワークなど働き方や職場環境が変わる中、新たなクラブ組織のあり方を構築し、地域との向き合い方や関係作りも模索しなければいけない。さまざまな変化に対応しながら、みんなで手を携えてリスタートしていこうというのが、私の決意です。

あれから半年が経過し、コロナから完全に脱することはできていませんが、子どもたちとのサッカー教室も再開し、選手たちもオンラインで小学校や病院訪問を行うなど、地域との関わりを深めています。FC東京は先々も地域に必要だと言ってもらえる存在であり続けないといけない。

将来的には東京にサッカー専用スタジアムがほしいという希望もありますが、まずはこの危機を乗り越えることが最優先。そのために地道な努力を続けていくことが重要だと思います」

2019年度までの上昇曲線を再び描くためにも、ACLとルヴァンカップ決勝は大きな節目になる。青赤軍団はコロナからの完全復活への大きな弾みをつけられるのか。ビッグトーナメントの再開が今から待ち遠しい。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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