東芝、リストラ進展でも見えぬ「次の成長柱」 監視対象に5事業、石炭火力発電からは撤退
経営再建中の東芝が不採算事業のリストラを着々と進める一方、次の成長の柱づくりを模索している。
東芝がこのほど発表した2020年4~9月期は、かろうじて34億円の最終黒字(前年同期は1451億円の赤字)を確保した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、エネルギー関連事業などで受注がずれ込み、売上高は前年同期比20%減の1兆3714億円と大幅に減少した。しかし、持ち分法適用会社で半導体大手のキオクシアホールディングスの採算が改善したほか、これまで不採算事業のリストラが効いた格好だ。
人員を1万人削減、進むスリム化
前2019年4~9月期は、アメリカの液化天然ガス(LNG)事業の譲渡損失892億円を計上。半導体市況が悪化し、キオクシアホールディングスでも613億円の赤字を計上していた。今期はこれら赤字要因がすべてなくなり、キオクシアが黒字に浮上した影響が大きい。
2018年4月に就任した三井住友銀行出身の車谷暢昭社長CEOは、東芝再建に向けて不採算事業を個別に精査し、事業からの撤退基準を明確にしてきた。具体的には、LNGや海外原子力建設は「非注力分野」と位置づけて撤退。物流や人材派遣、給与計算業務の子会社なども売却した。こうした構造改革や子会社削減に伴う人員削減は約1万人にのぼり、グループのスリム化が進んでいる。
主力事業でも売上高営業利益率が5%を満たすかどうかを撤退基準に掲げ、モニタリング(監視)対象として現在5事業を明示している。火力発電所の建設とシステムLSI(大規模集積回路)、HDD(ハードディスク駆動装置)、産業モーター、東芝テックの複合機事業がそれだ。
このうち、システムLSIは9月に撤退を決めた。車載用途に活路を求めていたが、海外の競合大手と比べて事業規模が小さく、赤字に苦しんできた。今後はデンソーに採用されている画像認識プロセッサー「ビスコンティ」など、既存製品の販売・サポートは続けるが、新規開発を中止する。
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