東芝、リストラ進展でも見えぬ「次の成長柱」 監視対象に5事業、石炭火力発電からは撤退

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システムLSIは、自動運転時代の主役になる可能性もあり、東芝も期待をかけてきたが、開発費が莫大で先行投資が重かった。「今までだったら赤字でもずるずる続けていた。銀行マンだった車谷さんだからできた」(東芝関係者)という声もある。2021年2月末までに約770人の人員整理を断行する考えだ。

さらに今回の決算で打ち出したのが石炭火力発電所の新規建設からの撤退だ。世界的な「脱炭素」の流れを受けて、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出する石炭火力発電所は新規受注がそもそも見込めなくなっている。

残るは東芝テックの複合機事業

2019年には上場子会社でプラント据え付け工事大手の東芝プラントシステムを完全子会社化するなど、火力発電からの撤退の布石を打ってきた。海外製造拠点では人員を3割削減しており、ビジネスモデルも建設から保守サービスにシフトさせることで採算改善を目指している。

既存設備の修繕などで蒸気タービンの製造販売は続けるが、火力発電事業は事実上大幅に縮小する方針だ。

残る監視対象3事業のうち、HDD事業はデータセンターなどへの採用が進んでおり、利益率5%は達成可能としている。産業モーターも収益改善が進んで監視対象から外れたため、残るは上場子会社の東芝テックが手掛ける複合機事業だ。

同事業は前2020年3月期、赤字に転落した。海外中心だがシェアが低く、リモートワーク拡大で市場も縮小傾向にある。東芝テックは国内外で約700人を削減したが、利益率5%の基準には届いていない。

東芝テックの幹部は「外部企業とのアライアンス等を含めた、あらゆる選択肢を検討している」と、さらなるリストラも示唆している。ただ、東芝テックのPOS事業はデータサービスの主力になるとみており、東芝は東芝テックの完全子会社も含めて検討している。

リストラは順調に進捗する東芝だが、将来の成長事業はまだ見えていない。今回公表した中期経営計画では2026年3月期に売上高4兆円、営業利益率は10%とした。従来は「2024年3月期に売上高4兆円以上、営業利益率8~10%」としており、目標達成時期を2年先延ばしにしたようにみえる。だが、東芝幹部は「当初計画はコミット(必達目標)ではなかった。今回は現実に照らして修正しただけだ」と話す。

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