「どうしても女性を抜擢したい」男性たちへ 女性の「管理職は絶対イヤ」は変えられる?

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苦手意識がある相手に対して、分け隔てなく接することができないことが、彼女の負い目になっていました。当然のことながら、苦手意識は部下に伝わります。職場では「好き嫌いが露骨に出る上司」と烙印を押されて、距離を置く部下も出ているとのこと。こうなると管理職としての仕事に自信がなくなってしまうのも、仕方ないかもしれません。

こうした状況に陥ったGさんは「管理職を辞退できないか……」と人事部に相談したこともあるようですが、人事部としては社内で貴重な女性管理職。期待の大きさを伝えて、一般社員に戻ることはできなかったようです。ただ、このまま、管理職として長く勤務できるのか? その悩みは継続中であり、

「管理職として長く続ける自信はありません。新たな女性管理職が登用されたら、一般社員に戻してもらうように交渉してみるつもりです」

と、どうしても自信がないのでした。

働き方を柔軟に行き来できるキャリアか?

財団法人21 世紀職業財団の調査でも、「管理職として組織の経営管理に関わりたい」と答えた人は女性社員で1割強しかいなかったそうです。管理職になりたくないにもかかわらず、職場にそれを期待(あるいは強要)され、悩んでいる女性は少なくありません。

政府も会社も、女性登用にやる気満々。ただ、候補者が社内に不在――そんな状態で、適性や志向を無視して、強引な抜擢が行われようとしている気がしてなりません。

もちろん、女性管理職が増えることは日本経済にとっても望ましいことであるのは間違いありません。そこで、女性管理職が安心して仕事ができるように

・マネジメント力を高める教育機会の提供
 ・先輩管理職によるメンタリング(対話による気づきと助言)

さらに管理職になったら一般社員には戻れない片道切符的ではなく、

《柔軟に働き方を変えることができる往来自由なキャリア》

を準備しておくと、「管理職で働く」ことをいとわない女性が増えていくのはないでしょうか?

政府の目標に合わせて、せっせと女性管理職を登用するのもいいですが、会社として無理な抜擢は避けたいものです。安心して仕事に取り組めるサポート体制の準備を心掛けていただきたいものです。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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