トラック運転手を追い詰める心ない消費者の声 「運転中もマスクを外すな」「コロナ運ぶな」

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マスクは気温の高い時期にドライバーたちの体力を奪い始めたようだった。

「ただでさえ暑い時期の業務はしんどいのに、片時もマスクを外せないとなると、今度は熱中症にならないか心配だ。せめて運転中だけでもノーマスクを許してもらえたら……」

元請けからは運転席や荷台、荷物を消毒するための除菌用スプレーも配給された。スプレーは運転席に置いておくほか、液体をポケットサイズの小さな容器に移し替えて常に携帯するようにもしている。

「荷物の受け渡しが終わったら、まず自分の手にワンプッシュ。そのほかに車両のハンドルや訪問先のドアノブなど気になる箇所があったら、その都度除菌する。荷物には送り状の文字が滲まないよう注意しながらスプレーを噴霧している」

学校から「ドライバーの子どもは登校するな」

元請けによる指導はドライバーの日々の生活スタイルにも及ぶという。

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「不特定多数と長時間接する可能性のある外食は勤務時間外でもできるだけ避けてほしい。勤務中の昼食もコンビニなどの店舗でテイクアウトするか、弁当の持参で対応してほしいと依頼があった。免疫力を維持するため、栄養価の高いものを食べたり、睡眠を十分に取るように、という指示も受けている」

新型コロナ以降、トラックドライバーたちは国民のライフラインを支えるため、感染のリスクに晒されながらも、日々ハンドルを握り続けている。しかし、そんなドライバーたちに対して、にわかに信じがたい罵声を浴びせる、心ない荷主や消費者も存在する。

報道やテレビのワイドショーでは、配達先で除菌スプレーを吹きかけられたり、車両のナンバーを見て「コロナを運んでくるな」と暴言を吐かれたり、親の職業がトラックドライバーであることを理由に、学校から子供の登校を拒否された、といった出来事が取り上げられた。

そこまで極端ではなくても、今回のコロナ騒動に関連して不快な体験をしたドライバーは少なくないようだ。

刈屋 大輔 物流ジャーナリスト、青山ロジスティクス総合研究所代表

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かりや だいすけ / Daisuke Kariya

1973年生まれ。青山学院大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。経営学修士号(MBA)。物流専門紙『輸送経済』記者、『月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI‐BIZ)』副編集長などを経て現職。一般社団法人フラワーリボン協会常務理事。

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