「イクメン」が、成長戦略の先兵だった!

女性の社会進出は、GDPを約1.5%押し上げ

ところが日本の男性の育児休暇取得率は、国際的に見ても低水準だ。2012年の統計では、わずかに1.89%にすぎない。引き上げのために、柚木氏がモデルとするのは、ノルウェーのパパ・クオーター制だ。「ノルウェーでは1977年から男性も育児休暇をとれるようになりましたが、男性の4%しか利用しなかった。しかし1993年にパパ・クオーター制が導入されてからは、3年後には利用率は70%を超え、さらに3年後には有資格の父親の90%が育児休暇をとるようになった」。

日本も2010年から「パパ・ママ育休プラス」がスタート。期間が「1年」から「1年2か月」まで延長された。また出産8週間以内に夫が育児休暇を取得した場合、期間内での再取得が可能になり、妻が専業主婦でも夫が育児休業できることになった。

さらに今年4月から、育児休業手当が拡充された。旧来は賃金の50%が支給されていたが、本年度から開始する育児休業から、開始後180日までは賃金の67%(上限286,023円)が補償されるようになったのだ。「育児休業手当は非課税で、社会保険料免除措置があることから、実質的には80%補償されることになる」(柚木氏)。

育休を義務付けるクロスカンパニー

一方で企業も、育児休業に取り組む姿勢を見せている。厚生労働省は昨年10月、「イクメン企業アワード2013」の受賞企業を選定し、花王など7社を表彰した。さらに今年4月、生命保険最大手の日本生命が育児休暇取得100%を達成したと報道され、話題になった。

また独自の育児休業制度を実施する会社がある。岡山県に本社を置くクロスカンパニーだ。同社の石川康晴社長は内閣府男女共同参画局推進連携会議議員も務めている。

同社は、昨年11月1日から、10歳以下の子どもを持つ社員は、月に1日の育児休暇をとらなければならない。同社広報部長の安信千賢氏は「休暇をいつとるかについては、社員各自が決めることができる」と言う。さらに画期的なのはその運用方法だ。育児休暇をとった男性社員は、育休をとった日に何をしたのかについて「確認書」を会社に提出する必要がある。しかも、そこには奥さんの印が必要なのだ。

同社の社員の95%は女性が占める。独自の育児休業の導入は社内の士気を高める効果が大きいと、安信氏は話す。「この育休を導入した目的は生産性のアップではない。男性管理職が妻の役割の重要性を知ることで、どうやったら女性社員が働きやすい環境を作れるかを考えることに繋がってくる」。

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