「イクメン」が、成長戦略の先兵だった! 女性の社会進出は、GDPを約1.5%押し上げ

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柚木氏と同じく「イクメン議連」の共同代表を務める公明党の谷合正明参院議員は8歳、6歳、4歳、1歳の4児の父親。同氏が注目するのは、地方における出生率の高さだ。「実は日本で女性の社会的進出率が高いのは、山形県、島根県、富山県、福井県など地方。これらの県は出生率も高い。反対に、東京都や神奈川県、大阪府など都会での女性の社会的進出率も出生率も低い」。

その理由はどこにあるのか。「住職近接なので、女性が仕事をしながらも育児の時間がとりやすいのではないか。おじいちゃんやおばあちゃんと同居していることで、安心して面倒をみてもらうことができる。都市部では通勤時間が長いし、子どもの面倒を見てくれる近親者もいないケースが多い。これでは子どもを産む気持ちになりにくいのもわかる」(谷合氏)。

一方で地方からの人口流出はゆゆしき問題だ。「中央公論」6月号誌上で、東京大学客員教授(元総務相)の増田寛也氏と「日本創世会議・人口問題検討分科会」が作成した提言書、「消滅する市町村523~壊死する地方都市」が発表され、話題になっている。これについて谷合氏はこう述べる。

「いびつな形の人口構成を改めるため、まずは地方に若者を定住させることが急務。そのためには仕事の環境を変え、地方に住むことのメリットを実感してもらわなくてはいけない。父親が残業で子どもが寝てから帰宅する社会より、親が子どもと一緒に夕食をとれる社会の方が、はるかにまともだ」

子どもと食事をするために早く帰ろう、保育園に迎えにいかなければならない、という風に思えば、仕事の効率は高まる。実際に時間当たりの生産性は、日本が41.6ドルに対し、多くの男性が育児休暇をとるノルウェーでは81.5ドルにも上っている。

女性の割合が多いと利益率も高い

「さらに女性を活用する企業ほど、利益率が高いというデータもある。倒産率も20%ほど低く、リスクマネジメントの上でも女性を活用するのは重要だ」と柚木氏は語る。

谷合氏もこれに同意する。「農業生産法人もそう。女性の役員の割合が高いほど、企業収益がいいという傾向がある」。

そもそも安倍晋三首相は「女性の活用」をうたい、「指導的地位に占める女性の割合を、2020年までに30%程度にする」という政府目標をたてている。柚木氏らは2つの「2030運動」を展開しようとしている。

その第一は、2020年までに男性の育児休業取得率を30%に押し上げようというもの。現在の政府目標は13%だが、これはすでに厚労省内では達成しており、次なる目標をかかげている。「私は昨年3月15日の衆院厚生労働委員会で田村憲久大臣に質問した際、大臣は『2020年までに(省内で)30%を目指せ』と指示した」と答弁した。もともと田村大臣はイクメン議連の自民党の共同代表だったので、我々の主張したいところは素早く理解してもらえたようだ」(谷合氏)。

もうひとつの目標は、政治家に占める女性の割合を30%まで上げること。
「世の中の半分は女性。経済分野でも政治分野でも、女性が経営にもっと進出すべきだ。まずは2020年までに30%が目標。私たちは安倍首相の『女性の活用』を先んじ、発展させていきたい」(柚木氏)。

女性が活躍する社会が実現されれば、日本は大きく変わることになるだろう。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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