財政改革は待ったなし 近づく破綻の足音、国債増発以外の再建策が焦眉の急
100年に一度の世界金融危機とその後の深刻な景気後退を、先進各国は金融緩和と財政出動で何とかしのいでいる状態だ。
ギリシャの財政危機で世界の目がソブリンリスクに注がれるようになった。欧米先進諸国は、目先の景気に配慮しながらも、市場に対して財政、金融の両面で、中期での出口戦略を示そうと努力している。ところが、日本はデフレ脱却への糸口がつかめず、出口戦略も示せないまま。
とりわけ、財政の悪化は進む一方だ。2009年度の一般会計の歳出総額は第二次補正予算後で102兆円に膨張したうえに、民主党政権は11~13年度の歳入・歳出枠を示す「中期財政フレーム」策定を今年6月に先送り。10年度予算も92兆円と過去最高となる一方、税収は37兆円に落ち込む。外為特別会計や財政融資資金特別会計の剰余金などのいわゆる“埋蔵金”で埋めても、公債金は44兆円と税収を上回る。歳出と歳入の差は1990年以降、開くばかりだ(下図)。
市場が織り込む日本の財政リスク
債務残高の対GDP比率では10年に197・2%とG7中で断トツ(2位のイタリアは127・0%)。政府保有の金融資産を差し引いた純債務残高もイタリアの100・8%を上回る104・6%となる(下図)。昨年11月にはIMFが、14年の総債務残高の対GDP比が日本だけ2倍を超す(245・6%になる)との見通しを示した。