日本を支配する「空気の暴走」は止められるのか

なぜ同調圧力が強い国だと感じられるのか

たしかにその通りなのですが、しかし「意義のある他者」に同調しやすいというのは他の国の人でもある程度共通するようにも思えます。「日本人は農耕民族で、ムラ社会を基本としてきたから掟を守る習慣があり、破ると村八分になる。だから同調圧力が強いのだ」こういう反論もありそうです。

農村をベースにした日本人論はよく目にするのですが、しかし農耕は別に日本だけの特徴ではありません。水田は多くないでしょうが、共同管理を要する仕事は水田に限りません。

このように見ていくと、どの社会にでも同調圧力は存在していると考えたほうが自然でしょう。しかし一方で、多くの日本人は実際に強い同調圧力を感じ、「世界でもっとも強い」とすら主張する人もいる。これはなぜでしょうか。日本の何が特徴的だと考えればいいのでしょうか。

「明確な掟」が少ない

一言で表せば「明確な掟が少ない」という点です。それゆえに曖昧な掟である「空気」が強い力を持つ。ここが特徴です。明確な掟さえあれば、それに従えばよいので空気を読む必要はありませんが、逆に言えば明確な掟が少ないからこそ、何となく読んだ空気を掟とするのです。

明確な掟が生じにくい理由はいろいろと挙げられます。そのなかでも、曖昧なコミュニケーションを好む姿勢、神様を絶対視しないような習慣はわかりやすいものでしょう。たとえば人間よりも偉い神様が絶対的な存在として君臨していれば、神様との契約は絶対です。これが強い掟になります。

ところが、日本では神様がそこまでの存在にはなっていません。もちろん信心深い方もいることでしょうが、もっと人間に身近な存在です。だから、人間の都合に応じ平気で神様を作ったり改造したりしてしまいます。神様が絶対であれば、人間が勝手に手を加えるなんてできないはずです。ちなみにですが、私の地元には喜多方ラーメン神社まであります。

明確な掟が少ない日本では、曖昧な掟である空気が諸外国より発生しやすくなります。また、決まりきった掟が少ないということは、新型コロナ禍における緊急事態宣言のような要請によって、新しい掟を作りやすいということです。しかも、それが全国に広まりやすいということでもあります。

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