「ホームドア時代」に取り残された車両の運命 ほかの路線で元気に活躍する車両もあるが…

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しかし2010年以降有楽町線全線にホームドアを設置することになり、2011年10月で「ベイリゾート」の運行を休止、2012年3月17日のダイヤ改正で運行中止となっている。

千代田線から箱根湯本に直通するMSE車の特急ロマンスカー「メトロはこね」。MSE車は地下鉄に乗り入れるため、前面に非常口を備えているのが特徴(筆者撮影)

現在は千代田線でもホームドアの運用が始まっているが、MSEはホームドアと同じ位置のドアだけが開閉するようになっている。開閉するドアは10両編成が1・4・5・7・8・9号車、6両編成が1・4・5号車だ。

また、MSEはATOを搭載しておらず、またホームドアの連動開閉もしていない。そのため車掌が手動でホームドアを開閉している。

東京メトロ06系を追い出した千代田線のホームドアだったが、千代田線にとってはMSEの運行をやめるわけにいかなかったということだ。

なお、特急車両のドアの部分だけホームドアを開閉する方式は、西武新宿線でも採用されている。

ラッシュ専用ドアを持つ車両も

■京阪電鉄5000系

京阪5000系は1970〜1980年に製造された5ドア車。当時直流600V、7両編成に制限されていた京阪のラッシュ時の乗降時間短縮を狙ったもので、常時使用する3ドアと平日朝ラッシュ時専用の2ドアを備えていた。

他扉車のパイオニアである京阪5000系。側面にドアがずらりと並ぶ姿は壮観。ラッシュ時専用ドアは窓回りを無塗装としていて目立たせている(筆者撮影)
ラッシュ時専用ドアの部分には昇降式の座席が設置されていて、ラッシュ時以外はドアを閉め切って座席を使用している(筆者撮影)

ラッシュ時専用の2ドア部分には昇降式の座席があり、ラッシュ時以外は3ドア車として運用した。このような特殊装備を持つため、軽量化のためにアルミ合金製の車体を採用したこともあり、製造コストは高かったようだ。そのためか、必要最低限である7両編成7本のみの製造にとどまった。

1983年に直流1500Vに昇圧し、1985年から8両編成の運転が始まったが、輸送力のある5000系は更新工事を実施しながら活躍してきた。

しかし京阪は2020年度を目標にホームドアの設置を進めており、5000系はホームドアの整備を前に引退する予定となっている。今のところ7編成中3編成が引退し、4編成が残っている。

京阪5000系のような多扉車はJR東日本や東急電鉄、東武鉄道、東京メトロ日比谷線にも存在したが、その多くはホームドア設置の弊害を避けるため引退している。

一方で、異なるドア位置に対応させた昇降式ホーム柵を採用したJR西日本の例もあり、今後もさまざまなタイプのホームドア、ホーム柵が登場しそうだ。

松沼 猛 『鉄おも!』編集長

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まつぬま たける / Takeru Matsunuma

大阪府出身。明治大学文学部卒。株式会社三栄書房に20年間在籍し、編集者として世界各地を飛び回った。2008年12月から『鉄道のテクノロジー』編集長を務めた後、2013年5月に独立。現在は『鉄おも!』編集長のほか、『鉄道ジャーナル』『ニューモデルマガジンX』『カーグッズマガジン』、鉄道、自動車関連ムックなどに執筆。

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