富士ゼロックスが個室シェアオフィス参入の訳 テレワーク普及を逆手に事業多角化を推進

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複合機事業を柱にする富士ゼロックスがあえて社会インフラ事業に近い個室型シェアオフィス事業を展開することは意外にもみえるが、富士ゼロックスは元々、1988年からサテライトオフィスを開設するなど、いち早く働き方改革に取り組んできた自負がある。

加えて、ペーパーレス化の進展により、複合機各社は印刷量に依存しないビジネスモデルの構築に注力しつつある。富士ゼロックスにとっても印刷以外のサービス展開が重要だ。

ココデスクで事業の多角化を推進

富士ゼロックスは2018年に、ITソリューションを軸に効率的かつ革新的な仕事の提供を目指す「Smart Work Innovation(スマートワークイノベーション)」という戦略を打ち出した。この戦略の3本柱の1つが「制約からの解放」。この戦略の延長線上に、場所という制約にとらわれずに働く場を提供するココデスクがあり、ココデスクに印刷機を置かないという選択は必然とも言える。

富士ゼロックスの事業の柱は複合機だが、テレワークをはじめとしたITソリューションの提供など事業の多角化を推進しようとしている。富士ゼロックスの玉井光一社長は「今後、富士ゼロックスらしいツールを増やし、顧客の満足度を高めたい」とココデスクへの思い入れは強い。

テレワークの進展を逆手にとり、「複合機」の富士ゼロックスから脱却できるか。ココデスクがそのカギの1つを握りそうだ。

大竹 麗子 東洋経済 記者

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おおたけ・れいこ

1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

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