富士ゼロックスが個室シェアオフィス参入の訳 テレワーク普及を逆手に事業多角化を推進

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富士ゼロックスが個室型シェアオフィス事業に乗り出したきっかけは、社内の営業パーソンからの声だ。テレワークが導入され、ノートパソコンなどのツールを支給された。しかし、「取引先との電話などの際に、出先でプライベートかつ周囲の音が気にならない場所を見つけるのが難しい」という声があがった。

ただ、都市部ではセキュリティが担保されたプライベートな空間を確保するのは難しい。そんな中、富士ゼロックス社内のあるイベントで、東京メトロが地下鉄駅構内の空いたスペースの活用法に悩んでいることを知った。東京メトロは従来、自動販売機や証明写真機、ロッカーなどを設置していたが、それらを設置できるのは人通りの多い場所に限られていた。

2018年から実証実験をスタート

東京メトロは2016年ごろから、駅構内の人通りが少ない場所で電源などを提供するワークスペースを展開していた。2018年6月から両社でココデスクの実証実験をスタート。顧客の反応を調査しつつ、ブースのデザインなどを改良し、2020年2月からサービスを本格的に開始した。

霞ケ関駅構内に設置されたココデスク(写真:東京メトロ)

富士ゼロックスは現在、京急電鉄やオフィスビルにも提携先を広げている。スペースを提供する側が清掃・監視を、富士ゼロックスが個室型シェアオフィスを提供しあい、コストを抑えている。「サービス向上を目的とするため土地の利用代は自動販売機ほど高くない」(丹野氏)が、コストを抑えているといっても、事業の柱になるほどの収益性を持つわけではない。しかし、ココデスクは富士ゼロックスにとって新事業を生み出す種にもなる。

オフィス内部に設置するため、ブース単体での販売も始めている。今後、年間200台の販売を目指す。コロナ禍でオンライン会議が急増し、オフィス内でも周囲の環境が気になる場面が多くなったためだ。また、高セキュリティ性のWi-Fiサービスへの引き合いも高まっている。

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