パナソニック、車載黒字化でも残る「次の課題」 「想定以上に回復」自動車と家電が業績牽引

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コロナの発生源ながら、いち早くコロナ影響から脱しつつある中国での売り上げも堅調に推移している。

地域別売上では、日本を含む他地域が軒並み売り上げを減らす中、中国のみが4~6月期に前年比4%増、7~9月期は同2%増と増加。パナソニック幹部は「中国では家電、住宅設備、電子部品、自動車関連など、どの分野も好調だった。(空気清浄機や洗濯機など)家電・住宅の(中国)域内シェアを伸ばすことができている」(同幹部)という。

「第2の柱」住宅関連事業も低迷

経営体質強化策が順調に進んでいる一方、新たな懸念も浮上している。アプライアンスに続く「第2の柱」である住宅関連事業だ。同事業を担うライフソリューションズ社の売上高は、新型コロナ影響で新築住宅需要などの低迷が響き、7~9月期の売上高は前年比3割減の3704億円だった。前年比9割程度の売上にまで回復し始めたほかの多くの事業と比べて厳しさが際立つ。

パナソニックの津賀一宏社長は11月17日の経営方針説明会で何を語るのか。写真は2019年11月の中期経営計画についての発表会見(撮影:大澤誠)

2018年に津賀社長が掲げたパナソニックの新経営方針「くらしアップデート」では、パナソニック自体のビジネスモデルを、単品売り切り型の大量生産・大量販売モデルから脱却することを企図した。

IoTの家電や住宅設備、オフィス空間で、パナソニックの製品群とソフトウェアを組み合わせ、継続的に課金できる「サブスクリプションモデル」への転換を急いでいる。照明や空調管理、住宅設備などの事業を抱えるライフソリューションズ社はその中核の1つだ。

パナソニックはこれまで、車載やテレビ、半導体など不採算事業の構造改革や売却により、構造的な赤字事業をなくしてきた。2021年3月期の業績は、パナソニックが示している1500億円の営業利益予想に対し、4~9月の6カ月間で966億円を計上するなど、経営体質強化策が機能し始めていることを示した。ただ、ライフソリューションズ社のように、成長の中核と位置づけていた事業が厳しくなっていることも浮き彫りにした。

津賀社長は11月17日、経営方針を改めて説明する。コロナ禍で大きく変わった事業環境にどう対応するか。成長に向けたコア事業が何か、改めて示すことが求められている。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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