パナソニック、車載黒字化でも残る「次の課題」 「想定以上に回復」自動車と家電が業績牽引

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2020年7~9月期について梅田氏は、「車載電池は、テスラにメインで納入している円筒形電池が黒字化に大きく貢献した」と明言。アメリカ工場の黒字は定着しており、「(テスラの車載電池事業は)通期黒字化も視野に入っている」(同)という。

車載機器も開発費のピークが過ぎたことや固定費削減などから黒字を確保した。同事業は自動車部品メーカー世界トップ10入りを目指し、欧州メーカーの買収や無理な受注増などの拡大路線が裏目に出て、減損などが発生していた。

自動車関連事業全体での収益改善について、パナソニックは4~9月期に280億円の増益効果があったとし、年間で350億円を目標とするなど、事業体質の改善が進んでいることを示した。

家電部門が業績を下支え

パナソニック関係者によると、トヨタ自動車との取引強化も業績回復に寄与しているという。トヨタとは車載電池や住宅事業で合弁会社を設立しているほか、トヨタ向けに車載製品数を増やすなど関係深化が続く。

自動車各社の中ではトヨタ自動車の回復ぶりが目立っている。梅田氏は具体名の言及を避けつつも、「回復が早い自動車メーカーが主要顧客にいることが、想定以上の回復スピードにつながっている」と話す。

さらに業績回復を下支えしているのが、パナソニックのブランドイメージを代表する家電部門だ。家電を担うアプライアンス社の7~9月期業績は売上高が前年比7%減の6364億円だったが、営業利益は前年比129億円増の358億円と会社全体の業績を大きく押し上げた。

売上高が減少しているのは「B to B(企業間取引)を中心にコロナ影響が継続している」(梅田氏)ことが理由で、「調理家電や洗濯機、冷蔵庫などの巣ごもり関連商品は好調に推移している」(同)という。

パナソニックは洗濯機や冷蔵庫などの大型家電に強みを持ち、10万円の特別定額給付金の効果などから、国内市場では高額製品の販売割合が増えているとみられる。

「冷夏で業界全体の在庫がだぶつき、7月にエアコンの安売り合戦が起きたが、パナソニックはそれに参戦しなかった。シェアを落とした例もあるが、冷蔵庫など高付加価値商品はシェアをあげた」(梅田氏)。赤字が続いていたテレビ事業も有機ELテレビや4Kテレビなど高価格帯の販売が伸び、7~9月期は黒字だった。

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