任天堂3代目「娯楽は二番煎じではダメ」の真意 山内氏「必需品なら二番手でも安い方が売れる」
「僕の持論ですが、服のセンスがある人は感受性が豊かで、自分のことをよくわかっています。感受性が豊かかどうかは、どんな話からでもわかる。だから面接では、ファッションに限らずいろいろ聞きますよ。でも、入社してからの教育はありません。分厚いマニュアルを用意するより、背中を見て勝手にやってくださいという放任主義です」
なるほど、と思った。私は常々、日本の企業はマネジメントが下手だと思っていた。社員を従順にしようとしすぎ、感受性や創造性をはぎ取り、元気を奪う。前澤は真逆だ。そして、何と労働時間は、2012(平成24)年から6時間制だという。
いかに人を楽しませ、驚かせることができるか
「仕事は短時間で集中して終わらせ、よそで遊んだり、学んだりしたほうがいい。自由な時間を趣味や家族とのコミュニケーションに使ってもらい、得たものを仕事で発揮してもらえれば、会社にとっても有益じゃないですか」
さらに驚くのは基本給とボーナスが全社員一律ということだ。成果報酬は一切なし。
「かつては競争がないと人はサボるとか、企業は傲慢になるということがあったかもしれません。けれど、競争するより協調したほうが『経済合理性』がある。競争によって刺激されなくても、みんなお客様にとって便利なもの、新しいものを自発的に生み出すマインドになっている気がします。
競争は嫌いです。僕の幸せの大部分は、人の幸せが占めています。じゃあ、どうやって社員、取引先、株主を楽しませたり、驚かせたりすることができるのか。それを考えてやってきたら、結果的に儲かっていた、という感覚なのです」
前澤は、これまでの常識をあっけらかんと覆して、人を驚かせた。しかし、その思想は、実はかつて稲盛和夫が語っていた「利他」に通じる。普遍の真理がそこにある。
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