ニコ動生みの親「企業の一番重要な役割は雇用」 企業経営には「シンプルな成功哲学」が必要だ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ネットの世界に疎い私にはよくわからない。「ブログの技術力」とは何なのか。

「簡単にいうと、技術力がないとサーバーが重くなって、アクセスして読み込むのに時間がかかるんです。ライブドアは、それが速かった。いつも、われわれの一歩先を行っていました」

そのライブドアを作り上げた堀江は、藤田にとって、どういう存在だったのか。

「堀江さんはライバルであり、仲間でもありという感じでした。僕たち、もともと一緒にやっていたんです。うちは、営業力はあるけど、技術力がない。堀江さんのところは、技術力はあるけど、営業力は弱い。そこで、組んで事業をやっていたのです」

大事なのは、いいときに傲慢にならないこと

その後、それぞれに独立。藤田のサイバーエージェントが、技術力など弱点を克服し、順調に利益を上げている秘訣を聞いた。

「いいときに傲慢にならないことが大事ですよね。いいときって、プライドが高くなったり、けっこういろんな人を怒らせたりしてしまう。短期的な評価に満足して、長期的に手を打っておかなければいけないことをやらなかったりもする」

答えづらいだろうが、私はあえて質問してみた。堀江は絶頂期に傲慢だったと思うか。

「うーん……」と藤田は黙ってしまった。真面目なのだ、と思った。質問をやや変えた。

「なぜ堀江は叩かれて、あなたは叩かれなかったの?」

「田原さんは、堀江さんについて、よくネクタイの話をされるじゃないですか。だから今日はネクタイをしてきました」

藤田は、少しはぐらかすようにいって、笑った。

私は、ネクタイを締めないことが悪いこととは思わない。ただ、彼が球団を買えなかったのはネクタイを締めなかったからだということは、真実だと思っている。

『伝説の経営者100人の世界一短い成功哲学』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「堀江さんは、人がどう思うかということをあまり考えないですからね」

そう藤田はいった。私は、それが堀江のいいところだと思う。そう伝えると、藤田はこう返した。

「いいところであり、考えなくちゃいけないところでもあると思います。自分の金だから好きにやっていいだろうとなってしまうと、不快に思う人もいる。社会に生きている以上、そういうところも考えないと」

「愚直」。IT企業の社長とは一見似つかわしくないが、藤田には、この言葉がよく似合う。

注)本稿に登場する経営者の肩書は、私の記憶に最も印象付けられている当時のものとさせていただいた。そのため、短い略歴も同時に掲載させていただいた。
田原 総一朗 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たはら そういちろう / Soichiro tahara

1934年滋賀県に生まれる。1960年早稲田大学を卒業後、岩波映画製作所に入社。1964年東京12チャンネル(現・テレビ東京)に開局とともに入社。1977年フリーに転身。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。1998年戦後の放送ジャーナリスト一人を選ぶ城戸又一賞を受賞。

著書に『伝説の経営者100人の世界一短い成功哲学』(白秋社)『戦後日本政治の総括』(岩波書店)『創価学会』(毎日新聞出版)『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』(講談社)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事