ニコ動生みの親「企業の一番重要な役割は雇用」 企業経営には「シンプルな成功哲学」が必要だ
「ニコニコ動画」に明確な方針はない
だから、人数が多いのはいいこと
♯川上量生 (ドワンゴ会長)
1968(昭和43)年、愛媛県に生まれる。1991(平成3)年、京都大学工学部卒業、ソフトウェアジャパン入社。同社の倒産後、1997(平成9)年、ドワンゴを設立する。2015(平成27)年、KADOKAWA・DWANGO社長に就任。現在、ドワンゴ顧問。
「あまり考えてませんね。明確な方針は出してないです」
ドワンゴ会長の川上量生から、いきなり意外な答えが返ってきた。ドワンゴといえば、「ニコニコ動画」という画期的なメディアをスタートさせた会社である。私は、当然ながら、ドワンゴが、そして「ニコニコ動画」が目指すものを聞いたのだった。
「僕の仕事のスタイルはサラリーマンです。サラリーマンは何かといったら、与えられた仕事をこなすことです。ドワンゴは着メロと『ニコ動』で大きくなった会社ですが、どちらも僕がやりたいからやったわけじゃない。このままだと会社が潰れるから、何か新しいことをやらなくちゃいけないと、必要に迫られてやっただけですよ、本当に」
川上は、つまり何か夢があるわけではなく、売れるサービスを作ろうとしただけだという。しかし、それでも川上は私たちが驚くようなものを世に出してくる。「ニコ動」については、「動画生放送で勝負しようと思って、その前にテストで動画サービスを作ったら、当たってしまった」そうだ。凡人としては、何やら悔しい気分になる。
私は、「ニコ動」は新しい時代のテレビ局を目指しているのかと思っていたのだが、川上はきっぱりと否定した。
「それは考えたことがないです。テレビ局や新聞社と同じことをするなら、別に要らないじゃないですか。ドワンゴはエンターテインメントの会社です。『ニコ動』で既存のメディアの人たちがやらないことを平然とやってみれば、面白いかな、と」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら