ニコ動生みの親「企業の一番重要な役割は雇用」 企業経営には「シンプルな成功哲学」が必要だ

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その一例が、政治家の小沢一郎を出演させたことだろう。当時、小沢はメディアから大批判され、叩かれまくっていた。そのため川上は、小沢を出演させたことによって批判されたという。

「政治家は人をだますのだから、メディアが発言をそのまま流すのはおかしい、と批判されました。でも、それは見ている人が判断すること。だいたい、政治家は嘘をつくといっているメディアの人たちが、見識が高いようには見えない。僕は、批判されている人、もうメディアが絶対にいいことは書いてくれない人にこそ、『ニコ動』に出てもらうべきだと思っています」

2014(平成26)年、ドワンゴはKADOKAWAと経営統合した。取材した2015(平成27)年現在、社員が3000人の大所帯になっている。多すぎる気もするのだが……。

「本当ですよね。でも、企業の社会的役割で一番重要なのは雇用です。だから、人数が多いのはいいこと。うちは多すぎますが、それだけ社会のために役に立つ人間を雇っているわけだから、多すぎることに胸を張ってもいい。もちろん、その分、儲けます」

具体的には、ゲーム事業、そして教育事業と展開していく、と自信にあふれる表情で語った。それは自らがいう「サラリーマン」というより、経営者であり、事業家の顔だった。

川上の語った教育事業とは、2016(平成28)年に開設した通信制の「N高等学校」のことだ。川上は「生徒が誇りを持てる通信制高校にしたい」と語っていた。その言葉どおり、ユニークな教育内容が評判を呼び、いまや全国で1万人以上が学ぶ人気校となっている。

ライブドアとはどこが違った?

自分の金だから好きにやっていいだろうとなってしまうと、不快に思う人もいる。社会に生きている以上、そういうところも考えないと
#藤田晋 (サイバーエージェント創業者)
藤田晋(ふじた・すすむ)
1973(昭和48)年、福井県に生まれる。1997(平成9)年、青山学院大学経営学部卒業。人材派遣会社勤務後、1998(平成10)年、サイバーエージェントを起業。2000(平成12)年、当時史上最年少の26歳で東証マザーズ上場。ブログやネット広告事業を展開。

藤田晋。ライブドア元社長の堀江貴文と同時期にインターネットビジネスの世界に躍り出た。「堀江世代」であり、盟友であったという。その堀江はマスコミに叩かれた挙げ句、逮捕、有罪になった。しかし藤田は、危なげなく、着実に成功を積み重ねている。いったい、2人は、どこが違ったのか。私は、率直に聞いてみた。

「藤田さんのところと、ライブドアはどこが違ったんだろう?」

「ブログは、うちも含めて、ニフティ、ヤフー、ライブドア、楽天と、一斉にスタートしました。横一線でしたが、ライブドアが頭一つ抜けかけた状態でした。彼らは技術力が高かった」

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