リニア資料リーク犯、静岡副知事「わからない」 条件付きながら水利用への影響「極めて小さい」

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次回以降の有識者会議でトンネル掘削に伴い発生する湧水の戻し方が本格的に議論されることになっているが、もし湧水の戻し方に難があり中下流域の河川流量が維持されないということになれば、今回の会議は無に帰すことになる。

JR東海の現状の計画では、県境付近のトンネル工事では、先進坑が完成するまでの間は山梨、長野両県にトンネル湧水が流出する。JR東海は「工事期間中に湧水の一部が県外に流出しても、大井川中下流域の河川流量は減少しない」と主張するが、川勝知事は「大井川の水は1滴たりとも他県には渡さない」と譲らない。

記者会見する静岡県の難波喬司副知事=10月2日(記者撮影)

本当に1滴でも他県に水が流れたら、静岡県は工事を認めないのだろうか。「他県に流れる水がこの程度ならOK」という許容範囲はあるのか。この点について10月2日に行われた難波副知事の会見で記者が質問したところ、難波副知事は「最終的にはそういう話もありうる」と述べたあと、こう話した。

「ゼロリスクということはありえない。“1滴たりとも流さない”という確約はありえない。それはゼロリスクだから。では、どの程度だったらいいのかというのは次の段階。今はどの程度の湧水が出るのかが明確ではない。全量戻しなのか、そうではないのかを議論する前に、まずどんなリスクがあるのか、どのくらい水が出るのかを詰めるのが先だ。それを見たうえで次にどうするかを考えないと、“落とし所”は探れない」

難波副知事の発言は、県とJR東海の見解の隔たりの間に「落とし所」があることを示唆している点で、非常に現実的なものだった。しかし、川勝知事は10月7日の定例会見で「金子社長が全量戻すと発言された。これは守っていただく」と、従来の主張を繰り返した。

結論までにどれだけ時間がかかるのか

国がリニアの工事計画を認可したのは2014年10月だ。その前段階で、沿線各地で環境影響評価法に基づく環境アセスメントが行われ、静岡県を含む各都県の知事意見を踏まえたうえで環境影響評価報告書がまとめられている。静岡県はこの時点ですでに大井川の河川流量確保や流域生物生態系の保全を求めていた。JR東海は可能な限り影響を低減すると回答し、工事認可に至った。

だが、本来であれば、現在有識者会議で行われているような議論は環境影響評価の段階で行うべきものではなかったか。もしそこで議論が尽くされていれば、工事認可後に話がここまでこじれることはなかったはずだ。

有識者会議が最近のように2カ月ごとに会議を開催するようでは、結論が出るまでにどのくらい時間がかかるかは見通せない。リニア開業の遅れによって迷惑を被るのは、東京から名古屋まで2027年開業を前提としたプロジェクトの修正を余儀なくされる沿線各地の住民や関係者たちだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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