リニア資料リーク犯、静岡副知事「わからない」 条件付きながら水利用への影響「極めて小さい」

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では、リークしたのは誰なのだろうか。記者が難波副知事に「静岡県が知っていることはないか」と尋ねたところ、「わかりません」と答えた。「県の専門部会で掲示された資料だ。それを誰かが見たり、写真で撮影したりすることが可能な状況にあった。入手した人がどういう経緯で入手したかは承知していない」。

ただ、専門部会の状況に詳しいある関係者は、「専門部会のホワイトボードに掲示された資料の細かい注記を写真で撮影してはっきりと見えるのだろうか」と首をひねる。また、難波副知事は「JR東海が掲示した資料だ」と説明したが、後日、JR東海に確認したところ「当社が専門部会で掲示したという事実はない」としており、両者の主張は食い違う。

さらに、難波副知事に「本件について調査するつもりはないか」と尋ねたところ、「証人喚問でもするということか。そのようなことまでする問題ではないと思っている」と答えた。県はこの問題について調査する気がないようだが、当のJR東海も深く追及するつもりはなさそうだ。

焦点は犯人探しではなく、資料の公表の方法に移っていた。JR東海は未発表資料は外部に委託した調査の成果物であり、専門性が高く第三者がその一部を抜き出して使用することは、逆に流域住民の不安をあおることにつながるとして、そのままの形での発表には慎重な姿勢を取る。

そこで、難波副知事はJR東海に対して「公表のあり方や方法等についてご再考いただきたい」と説明し、全面公開にはこだわらない姿勢を示した。

結局、JR東海は10月27日の有識者会議で、資料の一部を提出し、説明した。このやりとりから、両者は対立をできるだけ回避し、歩み寄りによる解決の道を探ろうとしているようにも見えた。

地下水量への影響、条件付きで「小さい」

さて、その有識者会議では大きな進展があった。この会議では、トンネル工事による大井川中下流域の地下水の影響について議論が行われた。

県が主催する中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会の部会長も務める森下祐一委員(静岡大学客員教授)が、JR東海の説明に対して「説得力がない」と批判する局面もあったが、会議終了後に福岡捷二座長(中央大学研究開発機構教授)は、「中下流域の河川流量が維持されれば、トンネル掘削による大井川中下流域の地下水量への影響は極めて小さいと考えられることが科学的・工学的な見地から確認された」というコメントを文書で発表した。

第5回会議から会議後の座長ブリーフィングに代わって文書での座長コメントが発表されるようになり、文書は委員全員の同意を得て発表されたものだという。第4回会議までは、座長の発言を、後で一部の委員が否定した例があったが、「今回はそういうことはない」と、江口技術審議官が胸を張った。

では、地下水量への影響が極めて小さいことが確認されたことで、工事開始に向け大きく前進となるのか。事態はそう甘くはない。あくまで「中下流域の河川流量が維持されれば」という条件付きだからである。

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