リニア資料リーク犯、静岡副知事「わからない」 条件付きながら水利用への影響「極めて小さい」

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県は、JR東海に地元の理解を求めることが必要と言っておきながら、直接対話を禁じている。この点について難波喬司副知事に尋ねると、「県が(JR東海は)勝手に対話すべきではないと決めたわけではない。流域市町の首長さんたちから“今JR東海に個別に会うのは困る。県が話を聞いてほしい”と要請があったので、それをJR東海に伝えた」という回答があった。

10月27日に開かれた国の有識者会議。前回開催から約2カ月の間隔が空いた(記者撮影)

しかし、流域市町の首長の中には、JR東海に直接会って話を聞きたいという意向を示した人もいたはずだ。この点について難波副知事に再度確認すると、「そうした発言はあったが、あらためて確認すると、今までの方針でやってほしいということだった」と回答した。

思い出されるのは昨年11月のやりとりだ。国交省が流域市町を訪問してヒアリングしていることに対して、川勝平太知事は、「5年前に当時の国交大臣がJR東海に“地元の理解と協力を得ることを確実に実施するように”と求めたのにやらなかったから、今国交省の担当者が回られている。JR東海は反省すべき」と発言、JR東海が地元に足を運んでいないと批判した。

JR東海の金子慎社長は、「知事がそうおっしゃるなら、流域の市町に個別にご説明にお伺いしようと思います」と、流域8市2町に面談を申し込んだが拒否された。これに対して、川勝知事は「8市2町、全会一致というのはすごいことです。僕は正直感動しました」とコメントした。

しかし、流域市町が面談を拒否したのは、JR東海との対話の窓口を県に一本化するという取り決めに基づいたからにすぎない。この状態からまったく変化していない。

非公表資料の出所は?

今年9月10日、静岡新聞は「JR東海の非公表資料が存在することが、9日までにわかった」と報じた。本件の顛末は10月2日付記事(静岡リニア「JR非公表資料」リークしたのは誰だ)に詳しいが、JR東海も本件をめぐる県との文書でのやりとりを10月20日に公開している。

それによれば、JR東海は当該資料を第三者に譲渡、提供しないという条件で県に貸し出したという。なぜ第三者である静岡新聞がコピーを持っているのか。JR東海は9月30日付で県に対し、「当該資料が静岡新聞に掲載された経緯について、ご存じのことはないか」と問い合わせたが、県からの返答はなかった。

宇野副社長は、記者の質問に対して「非公表資料がJR東海から流出したものではないことは確認済みである」と明言している。

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