ダイハツ「タント」発売1年、2位で手堅い通信簿 シニアをターゲットにした戦略は成功したか

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 “N-BOX一強”とはいえ、スーパーハイトワゴンというジャンルを切り開いたのは、タントである。その存在感は大きく、N-BOX誕生以降も2012年の年間販売ランキングで4位、2013年5位、2014年1位、2015年2位、2016年2位、2017年3位、2018年4位、2019年2位と、つねに上位をキープしている。

そうとなれば、2019年に登場した最新モデルにかけられる期待は、販売ランキング上位の死守は必須。そのうえで、N-BOXを下しての首位奪還ができればベストだ。そうした狙いは、ユーザーターゲットの変化にも表れている。

そもそもタントは、子育てヤングファミリーをメインターゲットとして生まれた。しかし、現行モデルでは「新時代のライフパートナー」をキーワードに「すべての世代のお客様のニーズにお応えする」に変化した。それも当然のことだろう。

ランキングトップを目指すのであれば、ユーザーを自ら「ヤングファミリーだけ」と狭めることはない。すべての世代をターゲットにしたほうが、販売台数は増える。実際に先代モデルの時代でも、ユーザーに占めるシニア層の数は、従来のメインターゲットである子育て層と同等以上になっていたというのだ。

そのため現行のタントでは、従来のヤングファミリーに加えて、シニア層をターゲットにしたことがクルマ作りから垣間見える。

乗降や乗車中に役立つ「ラクスマグリップ」(写真:ダイハツ)

ダイハツは、新型タントの開発に合わせて、予防介護の観点で高齢者の身体的負担を低減する新装備を産学共同研究した。具体的には、高齢者のクルマの乗り降りを手助けする「ラクスマグリップ」などが用意されていたのだ。

N-BOXの牙城は崩せなかったが……

発売から1年、新型タントの販売を振り返ってみればどうなのか。新型が登場してからの半年間となる、2019年7~12月の販売は9万3464台でランキングは2位。2020年1~9月は13万5044台で、ランキングは2位に終わった。残念ながら1位はどちらもN-BOXだ。2019年7~12月のN-BOXの販売は12万2267台、2020年1~9月は20万2048台である。

次ページN-BOXとの「約8万台」の差をどう見るか
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