また水戸線は、栃木県の小山駅からほぼ真っすぐ東に走って友部駅で常磐線と接続する。小山駅以外のすべての駅が茨城県内にある、いわば生粋の“茨城の鉄道”。
県中央部の交通の軸で通勤時間帯には常磐線に乗り入れて水戸・勝田発着の列車もある。交直流電車のE531系が活躍し、小山駅で接続する両毛線とあわせて北関東横断線の一部までを構成しているのだ。……と、こういえばかなり立派に感じられるが、実際には友部・水戸に近づくまではローカル色が圧倒的に強い。
茨城県内のローカル線といえば、この水戸線や関東鉄道常総線の水海道以北などをはるかに凌駕するローカル線がある。それは、水戸から内陸部を通って北に走り、福島県の郡山を目指すJR水郡線だ。地磁気観測も関係なく最初からの非電化路線で、奥久慈清流ラインという名の通り久慈川沿いを走る区間も多い。途中の名所は袋田の滝。昨年の台風19号で被災してしまい、現在も袋田―常陸大子間で運転を見合わせている。
三セクローカル線の双璧
JR以外のローカル線では第三セクターの鹿島臨海鉄道大洗鹿島線とひたちなか海浜鉄道が双璧。前者は水戸を起点に太平洋側を走って大洗や鉾田を経由、鹿島アントラーズの本拠地である鹿嶋市を目指す。アニメ『ガールズ&パンツァー』でも注目された観光路線でもある。
終点の鹿島サッカースタジアム駅はサッカーの試合当日以外は営業しない臨時駅で、JR鹿島線の鹿島神宮駅が事実上の終点。で、鹿島線に引き継いで乗ると河口近くの利根川を渡って千葉県へ。中間にあるのはあやめ祭りでおなじみの潮来だ。
もう1つのひたちなか海浜鉄道は、勝田―阿字ヶ浦間の14.3kmを結んでおり、全線全駅がひたちなか市内の小さな路線。もともとは茨城交通が営業する鉄路だったところ、廃止の危機を第三セクター化することで生きながらえた。
三セク転換後は地道な営業活動や最終列車繰り下げなどの利便性向上策が功を奏し、今では夢の延伸計画の実現が視野に。終点のさらに先にはネモフィラやコキアの花が咲き乱れるひたち海浜公園があることも、このローカル線の存在感を増す助けになっている。
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